アフターコロナの不動産市況はどうなる? 今後の不動産投資を左右する、3つのキーワード

地方自治体の格差が不動産価格に大きく影響

都心へのアクセスが一気に向上した流山市

’05年のつくばエクスプレス開通以降、都心へのアクセスが一気に向上した流山市。「住みやすい街」として認知度が向上している

 さらにもうひとつ、今後、注目すべきなのが自治体の経営力だ。 「最近、財政の非常事態宣言を出す自治体が増えています。数年すると財源が枯渇するような自治体は、選ぶべきじゃありません。逆に選ぶべきは、経営がうまくいっている自治体の物件です。例えば、千葉県流山市はここ10年で人口が増え、自治体の予算が350億円から550億円にアップ。税収が潤沢なら行政サービスが安定し、暮らしやすい土地になるので、空室リスクも下がります。こうした自治体の経営力も今後は不動産価格に反映されていくのではないでしょうか。不動産市況は需要と供給で成り立っているので、都心でも地方でも弱いところは弱くなり、強いところは強くなる。優勝劣敗が激しくなり、格差がますます広がると思います」(長嶋氏)

「バブル再来」を感じさせる予兆も!?

 さらに中長期的な市況についてはどうか。長嶋氏は「今後バブル再来の可能性もある」と指摘。
日経平均株価と都心の物件価格には強い相関関係があることがわかる。

【日経平均株価と都心3区中古マンション成約平米単価】日経平均株価と都心の物件価格には強い相関関係があることがわかる。「今後も政府が株価維持のために積極的に政策を続けるか注視する必要があります」(長嶋氏)

「これまでのデータを振り返ると、日経平均株価と都心中古マンション成約平米単価は連動してきたのですが、現在の日経平均株価はおおよそ2万1000~2万4000円くらいの高水準を維持している。これが2万4000円を超えていくと、’90 年代のバブル時と似た現象が起きるんです。あのときも日米欧で金融緩和を行い、実体経済はよくないにもかかわらず、不動産などの資産価値だけが上がり続け、結果的にバブルがどんどん膨れ上がっていった。現在の市況から考えれば、こうした資産バブルが3~5年以内にまた起こる可能性があります。バブルを見据えるなら、今こそ不動産は買い時だと考えることもできます」  この有事の最中、バブル到来の兆しをどう読み説くか。まだ先行きが不透明な今のタイミングで打つ次の一手が、今後の不動産投資の明暗を大きく分ける可能性は高いようだ。 【倉内敬一氏】不動産投資情報サイト「健美家」 健美家株式会社代表取締役社長。リクルート住宅情報( 現SUUMO )事業において賃貸、流通及び分譲部門を担当。その後、健美家に入社。’12年より現職 【長嶋 修氏】不動産コンサルタント 株式会社さくら事務所代表取締役会長。国交省や経産省などの委員歴任。現在は業界や政策への提言なども行う。近著に『災害に強い住宅選び』がある <取材・文/栗林 篤 藤村はるな>
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