来る都知事選、子育てや教育政策に絞って、各候補者の掲げる政策を比べてみた

子供の教育や子育てしやすい環境作りに力を入れる宇都宮健児氏

希望のまち東京をつくる会公式サイト  2012年、2014年の都知事選への出馬経験があり、いずれも次点だった宇都宮健児氏。弁護士として多重債務者の救済支援を中心に活動し、生活に困っている人に寄り添ってきた。今回の都知事選を「都民の生存権を争う選挙」と位置づける。  宇都宮氏が発表した公約を見ると、学校給食の完全無償化や都立大学の授業料を当面半額化など、子どもの教育に力を入れたものが目立つ。また、「コロナ災害」で長期休校になってしまった子どもたちの「学ぶ権利」を回復することや、すべての希望者が平等に学べる学校づくりなど教育の機会均等なども掲げている。  また、子育てしやすい環境作りとして、行政で子育てしやすい施設などの充実を目指す施策のほか、「こどもの貧困」や「児童虐待」削減のための具体的施策も提案している。  ほかには、「保育士・介護労働者の労働条件を改善し、認可保育園・特別養護老人ホームを充実させる」、「保育施設の面積基準や人的配置等について、保育の質の水準をあげるようにします」、「待機児をゼロにするために、5ヶ年間で5万人、当面2万人超の認可保育所等の定員増をはかります」、「介護労働者の労働条件改善を国に要求します」 などを挙げている。

福祉職を知る人間として現場の支援拡充を訴える込山洋氏

 金融会社勤務、コンサルティング会社経営後、スマイル党のマック赤坂氏の付き人として活動。後に介護職員として働いてきた。  込山氏は都知事選の公約を「東京美しい心22」と銘打ち、「介護離職率の減少、介護福祉士年収480万円」や「いじめ、うつ病、自殺対策(相談窓口の強化)」などの政策を掲げる。  子育て施策では、「保育士、看護師、介護士の支援拡充」「待機児童の減少、病児保育の充実」の2点を掲げる。保育と同じ福祉職の現場を知る人間として、保育現場の改善にどこまで果たせるのか。

出産育児支援と教育のIT化を掲げる小野泰輔氏

小野泰輔OFFICIAL SITE 日本維新の会推薦の小野泰輔氏は、2008年に熊本県政策調整参与に就任、2012年から熊本県副知事として8年間の公務経験がある。小池氏、宇都宮氏といった面々に比べると東京での知名度はないが、熊本副知事として地方自治に長く関わった経験は大きい。第一声では、「即戦力になれる」と自信をにじませた。また東京生まれで、多摩地域に住んでいたこともあり東京との縁もある。  公式サイトでは、子育て施策についてこう謳っている。 「妊娠、出産、子育てへの大胆な投資を行います。特に保育士・教師の事務負担軽減および生徒の学びの充実のための事務簡素化・ICT化、不妊治療助成拡大、妊産婦支援・割引制度(マタニティパス等)の拡充、子育て応援券の導入、保育士の待遇改善(直接給付)など、サポートの拡充を図ります」 「タブレット端末の一人一台支給の早期実現や各家庭のインターネット環境整備を推進し、コロナによる学力格差拡大を防ぎます。また、集団教育のあり方や部活動のあり方を検証し、時代にあった教育方法を提示します」  妊娠・出産・子育てを支援しつつ、教育のIT化などを進めるようだ。

「待機児童ゼロ」を掲げる西本誠氏

 公約サイトとしてインスタグラムを活用。「児童待機ゼロ」を明記した。

現金給付と教育IT化を謳うホリエモン新党候補の2人

 立花孝志エンタメチャンネル 国会(参議院議員当選から3ヶ月で辞職だが)や市議会での政治経験があり、実業家の堀江貴文氏公認のホリエモン新党から出馬した立花孝志氏。公約はサイトではなく、ユーチューブを使って発表している。  立花氏は新型コロナウイルスによる休業や営業自粛で打撃を受けた飲食店、イベント業への支援に意欲的だ。  子育てに関係する施策については、都民への現金給付を挙げた。公約についての動画では「都民に外出自粛要請をするのであれば、都民に1ヶ月につき10万円を支給する」と話している。財源は、東京都債を発行して賄う。  同じくホリエモン新党公認の齊藤健一郎氏は、堀江貴文氏の秘書を務めているという人物。公約は、堀江氏の著作『東京大改革』(News Picks Book)に掲載の「37の提言」の実現。ニコニコ生動画で宣言した。  子育て施策としては、「学校教育のオンライン化」や「紙の教科書廃止」を挙げた。新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、多くの小中学校、高校では休校措置がとられた。休校の是非とともに、オンラインでの授業に注目が集まっている。  同書を読むと、オンライン授業の進め方が書かれている。タブレット端末を家庭に配り、生徒はオンラインで教師から授業を受ける。さらに個人指導の講師も配置し、オンライン授業についていけない子どもたちに勉強を教える役割を担ってもらう。  また「文部科学省が予算をつけ、『電子教科書』としてのiPadやスマホ買い与えればいいのだ」と、教科書のペーパーレス化を提案している。
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教育・子育て施策に触れるその他候補
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