一方的な伝達で終わりがちなリモート会議は時間の無駄。「見せかけの合意」という罠に注意

 在宅勤務をはじめとする生活様式の変化は、企業における会議時間の短縮をもたらしている。対面に代わる電話やZoomなどのリモート会議が時間短縮に一役かっている。

実行に映らない見せかけの会議

砂時計のイメージ

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 しかし、リモート会議はファシリテーションスキルを発揮しないと一方的な伝達になってしまい、合意形成ができない状態を生んでしまう。  合意形成ができないと、会議で決定したはずなのに実行に移されないという見せかけの合意を頻出させてしまう。リモート状況のなかで実行度合の確認が甘くなれば、事態はさらに深刻だ。

都度都度の議論が混乱を招く

 一定時間内に合意形成するために最も効果のあるファシリテーションスキルが、4つの質問で合意形成する手法だ。 (1)「洗い上げ質問」で、異論や懸念を洗い上げ、 (2)「掘り下げ質問」で、出された異論や懸念を深刻な順に掘り下げ、 (3)「示唆質問」で前提を置いて方向性を示唆して合意形成し、 (4)「まとめの質問」で確認をする。  洗い上げ質問で異論や懸念が10出ようと、20出ようと、これらの異論や懸念を掘り下げ質問で一番深刻なものから20番目に深刻なものまで、深刻な順に並び替えて、一番深刻なものから順に示唆質問、まとめの質問で合意形成していく。  そうすると、深刻なものから3つの異論や懸念について合意形成した段階で、参加者にはこれ以上議論する必要がないという思いが浸透するのだ。逆に言えば、一定時間内に合意形成できない会議は、異論や懸念の洗い上げと掘り下げが不十分な会議なのだ。  よくある会議では、進行役がよかれと思って、出された異論や懸念に対して出された順に、その都度議論を促す。出された異論や懸念は、20番目のものかもしれない、6番目のものかもしれない。ファシリテーションができていないこのような会議では、いくら時間があっても合意形成できない
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真理よりも会議では実践するための合意で十分
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