紅白司会もつとめたNHK「ガッテン!」の小野文惠アナが“ヘタクソ”なのに出世するワケ

「天然の愛嬌」こそ小野アナの最大の武器である

 小野文惠の最大の武器は「愛嬌」である。それも、人に媚びるような愛嬌ではない。一生懸命しているんだけど天然ボケで失敗する。そのおかしさ、かわいさが「天然の愛嬌」を醸し出している。だから下手くそでも視聴者に愛されるのだろう。  彼女は担当した番組を途中降板したことがほとんどない。紅白歌合戦でも紅組司会と総合司会を両方務めている。ある日、こんなことを言ったことがある。 「結局、アナウンサーは番組で使ってもらえるかどうかですからねえ。CP(チーフプロデューサー)やPD(番組ディレクター)に使ってもらえるかどうかです」  愛嬌のある天然ボケの割には賢いことを言う。自分の得意と苦手をよーくわかっているのである。  小野文惠は初任地山口で結婚した先輩アナと早々に別れた。先輩アナは先に再婚したが、その後も仲良しの「友人関係」を続けている。東京アナウンス室で2人一緒に勤務していた時期があり、同僚たちが腫れ物に触るようにしていたと聞いたことがあるが、そんな必要はなかったのだ。  この2人と一緒に呑みに行った時、私が「お前ら不思議な関係続けてるよなあ」と言ったら「友達だったのに勘違いして結婚しちゃったんですよねえ」と振り返っていた。  これが、長年「ガッテン!」に出続け、初任地山口を出て以来23年にわたり東京に居続ける秘訣なのだと、私は仲間として納得している。なお、今回の人事を決裁したであろう人事局長も、初任地山口仲間、1年後輩の記者である。初任地の絆は永遠に。  また呑みに行くか? ロックと映画オタクの前夫と一緒に! <文/相澤冬樹>
大阪日日新聞論説委員・記者。1987年にNHKに入局、大阪放送局の記者として森友報道に関するスクープを連発。2018年にNHKを退職。著書に『安倍官邸VS.NHK 森友事件をスクープした私が辞めた理由』、共著書に『私は真実が知りたい 夫が遺書で告発「森友」改ざんはなぜ?』(ともに文藝春秋)
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