1か月で資産2億減も!? コロナショックの暴落相場でしくじった投資家たちの「反省」

 新型コロナウイルスの影響で、株価は激しく乱高下。目まぐるしい値動きに右往左往し、大きなマイナスをくらった個人投資家は少なくない。では、そんな“コロナ相場“で勝ちきった辣腕トレーダーたちはどのように立ち回ったのか?
新型コロナウイルスによる大暴落

投資家として知見が深い井村氏も甘く見ていた新型コロナウイルスによる大暴落。今でこそ回復してきた日経平均だが、3月中旬は2万円を大きく割っていた(画像/産経ビジュアル)

コロナ相場を先読みできず1か月で資産が半減!?

「誰かかにギュッと心臓を掴まれているような感覚で、生きた心地がしませんでした」とコロナ相場でしくじった当時のことを振り返るのは、元芸人という異色の経歴を持ちながら、株式投資で資産4億円超えを達成した専業投資家の井村俊哉氏だ。 「今年は年始から+50%のパフォーマンスを叩き出すなど絶好調で、コロナで暴落する未来なんて想像していませんでした。日本での感染者が徐々に増え始めた2月中旬からの1週間で、運用資産が1億円ほど減少しましたが、それでも年初のパフォーマンスが好調だったこともあって『まだまだ余裕』『このまま待ってればすぐ戻るだろう』と、高を括っていたんです。僕が運営している『Zeppy投資ちゃんねる』というYouTubeチャンネルでも『1億円損失を出してもギリ立っていられる理由』なんて動画も出していたくらいで……。しかし、3月になっても止まらない資産減少に焦りを感じ、あろうことか予定していた打ち合わせをリスケしてもらってまで取引する日もあるほど、追い詰められていきました。そして3月13日、資産の減少はついに2億円にまで到達してしまったんです」  2月から始まった損失劇は、たった1か月で資産最高値から半減した。

銘柄入れ替えで急遽対策。復活のポイントは?

「私の投資スタイルは、成長株への集中投資で、業績が伸びている間は極力保有し続けます。当初コロナショックは、半年に一回程度あるマーケットの調整と甘く考えていました。しかし、保有株が暴落するなか『これは実体経済に大きな影響を与えるかもしれない』と思い直し、業績が悪化しそうな準主力の2銘柄を売却し、銘柄を入れ替えるなど対応を急ぎ講じました」  銘柄入れ替えの基準となったのはどういった点なのか。 「もともと業績が安定的にストックされているクラウド関連銘柄を保有していましたが、コロナ禍で影響を受ける銘柄も出てきてしまうと読みました。そこで、クラウドサービスのアカウント管理会社であるHENNGEなど、コロナ相場でも業績が好調な企業に目をつけ、アフターコロナを見据えて需要が増えるであろう銘柄を吟味して、とある事業者向けのEC系クラウドサービスの銘柄に乗り換えたんです。下がりゆく中、ほぼ毎営業日売買を続けました。相場が反転し、読みどおりクラウド関連銘柄が世界的な株価上昇の流れに乗った結果、運用資産は4.5億円と過去最高まで増やすことに成功しました」 “しくじり”から一変、彼が復活を遂げられた理由は、的確な売買だけでなく、投資行動そのものにあった。 「暴落の最中、周りを見渡すと株を買っている人はほとんどいませんでした。株を買うこと自体が不謹慎という空気だったことを覚えています。ただ、僕の中では、『この素晴らしい会社がこんな株価なんておかしい』と思って買っていました。『人の行く裏に道あり花の山』という相場の格言にもあるとおり、時に人と違う投資行動を取る信念が必要なんだと思います」  しくじったときこそ自分を信じ抜く必要性を井村氏は教えてくれる。 ●しくじり格言 常に調査を怠らず、暴落時こそ信念を持って対応する
次のページ
トレード業界注目の「逆神」。コロナの影響は?
1
2