コロナ禍で国境封鎖の北朝鮮。観光解禁は来春までずれ込む可能性も。絶たれる外貨獲得の手段

2019-20年カウントダウンライブ

モランボン楽団が登場した2019-20年カウントダウンライブ

いち早く国境封鎖していた北朝鮮

「今年のマスゲームは完全中止になり、観光客の入国再開も来年にずれ込むかもしれません」と北朝鮮旅行を手配する代理店は肩を落とす。  新型コロナウイルス対策で1月22日に外国人観光客の受け入れを停止した北朝鮮。その10日後には、国際列車、空路の運行も止めて国境を接する中朝、ロ朝国境をすべて封鎖した。  1月22日は、中国武漢が都市封鎖される前日というタイミングだった。そのため何かしらの情報を持っていたのかなどの憶測も流れた。しかし、現実的には、封鎖前日の21日に国境を接する遼寧省の大連で新型コロナウイルス確定患者1号が確認されたことが大きく影響したと考えられる。  当初、北朝鮮旅行の各代理店は春先には収束して入国が再開されるだろうと考えていたのが、3月以降、感染は世界へ広がり、世界の国々が前例のない鎖国状態となり2020年はすでに半分が過ぎてしまった。  今月中旬、北朝鮮国内の観光関係者から中国の旅行代理店へ今夏の観光入国再開は見送りが決定したとの連絡があった。早くても国慶節連休後になる見込みだという。  国慶節は中国の建国記念日の連休で北朝鮮観光にとって秋最大にしてその年の最後の書き入れ時となっている。その国慶節連休後ということは、観光入国再開は、最短10月中旬以降ということになりそうだ。  日本の周辺国を見てもタイの観光客入国再開が10月上旬と報じられているので、各国で同じくらいのタイミングになるのはやむを得ないと言える。

「異例な年」となった北朝鮮観光業の2020年

 今年は北朝鮮観光業にとっても異例な年となっている。4月の平壌マラソンは初の中止となり、北朝鮮最大の祝日太陽節(4月15日=金日成主席の生誕日)には例年であれば日本や中国から友好訪問団が訪れていたが、今年は非観光客である友好団体やマスコミ関係者、政治家などの訪問も完全停止されている。  北朝鮮の観光シーズンは、観光客全体の9割以上を占める中国人の暦に連動している。4月上旬の清明節(中国のお盆連休に相当)連休から10月の国慶節連休が終わる10月中旬ぐらいまでがハイシーズンとなっている。  北朝鮮観光は、10月下旬から3月末まではオフシーズンとなりこの約5か月間に訪れる旅行客は、年間観光客の5分1程度とみられ、観光客全体の5分4は、ハイシーズンに北朝鮮を訪れていることになる。
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全面中止の可能性大なマスゲーム
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