コロナでLGBT当事者の年収が平均53万円減少……非正規雇用に流れざるを得ない現状

「募集ポジションが消滅」という人も

 またコロナウイルスの感染拡大で抱いている不安や危機感を複数回答で聞いたところ、「就活・転職活動が長期化するのではないか」が78.9%で最も多かった。次いで、「希望する企業や業種が人材の採用を止めるのではないか」が66.7%だった。  また就活・転職への影響としては、「説明会やセミナーが中止になり、企業に会える機会がなかなってしまった」が46.8%だった。  自由回答には、「全体の求⼈数が減るのではないか」といった不安や「業績悪化のため役員⾯接まで進んだが募集ポジションが消滅してしまった」といった経験談が寄せられた。またコロナで「転職⾃体を先送りにするべきか迷っている」と言う人も。LGBT当事者もそうでない人たちと同様の影響を被っていることが伺える。  4月時点ですでに、解雇や内定取り消しといった雇用の喪失や、シフト減や休業による給料減が見られ、行政にもLGBTが安心して相談できる環境整備や支援策が求められている。また企業側にも、LGBTなどの多様性への取り組みが急務となっている現状がある。

メンタルヘルスが悪化した当事者が過半数

 「新型コロナウイルスはあなたにどんな影響を与えましたか」という質問では、LGBTの固有ともいえる問題も見えてきた。1位は「孤独になってしまった」で、28.9%が回答。次いで「新宿二丁目やLGBT関係のNPOなど、安心できる繋がりや居場所がなくなってしまった」という解答が21.8%。新宿は初期からクラスター発生が心配され、飲食業の営業にも賛否両論があった地域だが、当事者たちにとっては唯一無二の安心できる場所だった。  そうした繋がりがなくなってしまったことでLGBT当事者のメンタルヘルスの悪化も心配されている。「新型コロナウイルス感染症拡大前と後では、あなたのメンタルヘルスはどのように変化しましたか」という質問に関しては、43.8%が「悪化している」、8.3%が「とても悪化している」と回答。半数以上の当事者がメンタルヘルスの悪化に直面していることが分かった。  コロナウイルスの感染拡大では、LGBTの当事者ではない人々にも「コロナ鬱」が心配されていたが、自身のことを心を許して語り合える環境が少ないLGBT当事者たちは、より一層コロナによるメンタルヘルスの悪化が心配される。 <文/ミクニシオリ>
1992年生まれ・フリーライター。ファッション誌編集に携ったのち、2017年からライター・編集として独立。週刊誌やWEBメディアに恋愛考察記事を寄稿しながら、一般人取材も多く行うノンフィクションライター。ナイトワークや貧困に関する取材も多く行っている。自身のSNSでは恋愛・性愛に関するカウンセリングも行う。
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