給付金事業に群がったトンネル会社「サービスデザイン推進協議会」の論点を整理する<大串博志氏>

汐留の電通本社ビル

汐留の電通本社ビル
Ken Galbraith / PIXTA(ピクスタ)

血税中抜疑惑に説明責任果たさぬ政府

 中小企業を救うべき持続化給付金事業が電通に喰い物にされていた。国は持続化給付金の事務事業を「サービスデザイン推進協議会」(以下、「協議会」)に769億円で委託し、協議会は電通に749億円で再委託した。だが「協議会」は電通や竹中平蔵が会長を務めるパソナが設立した法人であり、電通の自作自演で「幽霊企業」「トンネル会社」が血税を中抜きしたという批判が絶えない。  果たしてこの「トンネル会社」はいかなるものなのか? 『月刊日本7月号』では、「糾弾1 電通と結託する安倍政権」として糾弾特集を掲載。今回は本特集より、立憲民主党衆議院議員であり本問題を追及する大串博志氏へのインタビューを紹介しよう。

トンネル会社・「サービスデザイン推進協議会」

── 大串さんは、持続化給付金の事務事業をめぐる取引について追及しています。 大串博志氏(以下、大串):持続化給付金は、新型コロナで影響を受け、非常に厳しい状況にある事業者の皆さんに対して支援を行うという、第一次補正予算の中でも最も重要な施策です。この給付金を必要としている方々に確実に届けなければなりません。  ところが、受け付けを開始した5月1日と2日に申請された計約28万7000件のうち、約3・5%の1万件超が未払いになっています。給付金を必要としている方々は、固唾を飲んで支給を持っているのです。  しかし、持続化給付金の事務事業は、実態のわからない「サービスデザイン推進協議会」(以下、「協議会」)に769億円で発注され、「協議会」から749億円で電通に再委託されていました。問題は、この「協議会」に実態が見えないことです。我々は、6月1日に「協議会」の事務所を訪れましたが、部屋の中には誰もおらず、真っ暗でした。電話を鳴らしても、ベルを押しても誰も出てきませんでした。  ところが、「協議会」は6月9日にマスコミに対して事務所で仕事を行なっている様子をわざわざ公開しました。しかし翌10日に我々が訪問してみると、また閉まっていて、事務所には誰もいませんでした。マスコミへの公開は、「アリバイ作り」だったとしか見えません。そもそも、このような実態のない組織に経産省が委託すること自体が大きな問題です。  また、入札にも問題があります。経産省は4月8日に入札を公示しましたが、公示前の3月30日、4月2日と4月3日に経産省は「協議会」と電通を呼んでヒアリングをしていたのです。出来レースだったのではないかという疑いが生じます。  今回の入札には、「協議会」とともにコンサルティング会社のデロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーが参加していましたが、入札調書では、「協議会」は「C」ランクであるのに、デロイトは「A」ランクでした。もちろんランクだけでは決められませんが、経産省は「協議会」に発注した理由を説明する責任があります── 「協議会」は過去にも経産省から様々な事業を受注しています。 大串:2016年の設立以来、「協議会」は経産省から「おもてなし規格認証」、「サービス等生産性向上IT導入支援事業」など14事業、1500億円以上を受注しています。それらの多くが、持続化給付金事業と同じように、そのまま電通に再委託されています。電通のトンネル会社だという疑いは濃厚です。「協議会」の取引が適切かどうかを、過去にさかのぼってきちんと調査すべきです。
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優遇されるのは「権力に近い人」だけ
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月刊日本2020年7月号

【特集1】「安倍以後」の日本

【特集2】安倍vs検察 国民不在の権力闘争

【糾弾1】電通と結託する安倍政権

【糾弾2】政商・竹中平蔵大批判