コロナショックで歴史的マイナス成長時代が到来。移動制限は航空業界を直撃も

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737MAXは’18年にインドネシア、’19年にエチオピアで墜落事故を起こした。中大型機も大幅減産の方針で、部品供給を担う日本の航空業界への影響は必至だ 写真/AFP=時事

コロナ危機で運航8割激減!崩壊寸前の航空業界の前途は?

 コロナ禍での移動制限が直撃したのが航空業界だ。豪ヴァージン航空は破綻し、ブリティッシュ・エアウェイズは1万2000人を解雇する方針を表明した。国際航空運送協会(IATA)は、今年の航空需要は前年比48%減、旅客収入は55%減と試算(4月末)。感染収束まで長期化すれば、さらに業績が悪化する怖れさえある。  航空ジャーナリストの坪田敦史氏は、業界の未来をこう読み解く。 「夏の国外旅行の需要は絶望視され、試算以上に壊滅的状況に陥る可能性も孕む……。KLM航空(仏蘭出資)のように、複数の国が出資する航空会社は、一国の感染状況の改善だけでは業績回復が見込めず、困難な経営が続くでしょう。ただし、米国の航空会社は欧州より公共交通機関としての役割が大きく、救済策が打ち出される可能性が高い。また、運航停止は’01 年の米同時多発テロの後に経験済みで、回復の道筋を知っていることも大きい。短期的なV字回復は望めずとも、中期的には必ず復活するでしょう」  気がかりなのは、米航空大手ボーイング社。最新型の小型機737MAXが’18 年と’19 年に墜落事故を起こし、生産停止になったところへコロナが追い打ちをかけたからだ。 「今後、航空需要の減少が予想され、小型機への切り替えが進むだろうし、もともと使い勝手がいい上に需要も大く、安全性の問題が解決すれば売れる機体なのです。ボーイング社は軍需産業の側面が色濃く、米国は過去にも経済支援している。また、100席以上の航空機のシェアの3割超の同社を、潰すわけにはいかないでしょう」  世界経済にもワクチンが必要だ。   <取材・文/¥enSPA! 写真/Avalon/時事通信フォト、AFP=時事>
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