「仮にコロナ感染症を乗り切り、強引に演出した株高でトランプ大統領が米国大統領に再選すれば、彼の存在自体が今度は
世界経済や株価のバブルを脅かす存在になる可能性もあります」と永野氏。
「トランプ大統領は熱狂的な支持基盤に支えられていて、反対派を威嚇あるいは阻害することで、その支持基盤を結集・底固めするという戦略を取っています。したがって、トランプ大統領が再選された場合には、
対中国で一層強硬になり、また、国際協調といったものはますます見られなくなるでしょう。もし11月にアメリカでトランプ大統領が選出されたら、
世界経済、そして株式市場へのマイナス要因は測りしれません。当然、
対日本でも厳しい対応をしてくることは明白です。たとえば、在日米軍に対する負担を増やせ、さもなければ、自分たちで再軍備をしろという、日本の憲法を無視した、さらに言えば、現在の日本の憲法がアメリカの占領下でつくられたことをまったく考慮しない主張をしてくる可能性は高いと見ています」
永野氏の予測では、米国や中国がコロナ感染症第2波に襲われる中、トランプ大統領が再選されれば、NYダウの1万5000ドル割れ、日経平均株価1万2000円割れという「
コロナ再暴落」もあるという。
永野氏の最新刊
「一方、民主党の大統領候補・バイデン氏が大統領に就任し、『民主党であること』よりも『
トランプ氏でないこと』を政策の中心に据えれば、株式市場にもトランプという不安定要素がなくなります。その場合は、史上空前のカネ余りと低金利の恩恵を受け、コロナが終息する2022年~23年にかけてNYダウ4万~5万ドル、日経平均株価3万円~4万円のスーパーバブルがきてもおかしくありません」
確かに、バブルは、いつか崩壊する運命。そんなバブルを礼賛していいのか、という意見もあるだろうが…。「人間が欲で生きている以上、しょうがないと割り切るべきなのかもしれません。もしバブルが崩壊すれば高値から20~50%程度下落し、回復するのに5年~10年かかることになる事態もありえますが、バブルが来る以上、乗らない手はない」というのが永野氏の見解だ。
人類はコロナという病、そしてトランプ大統領という「現象」を克服して、再び新たな世界を構築できるか? ポストコロナの世界を生き抜くために、その2つの課題が人類にのしかかっている。
<文/永野良佑>
ながの りょうすけ●金融アナリスト。1967(昭和42)年愛知県生まれ。1989(平成元)年3月、一橋大学経済学部卒業。外資系金融機関を中心に、ストラクチャード・ファイナンス、クレジット・トレーディング業務に主に従事。最新刊の『
金融のプロが教える コロナ暴落後の必勝投資術』(扶桑社)では、3つのシナリオ別にコロナ暴落後の株式市場と、バブルに踊らず長期的に資産形成するための方法が詳細に解説している。
著書は他に『
プロが絶対買わない金融商品』(扶桑社)、『
セールスマンが教えてくれない金融商品の仕組み – 危ない商品はこう見分ける!』(中央経済社)など多数。