カイロ大の声明も根拠薄弱!?――ますます深まる学歴詐称疑惑
前回の都知事選の公約もほとんど実行できず、「パフォーマンス優先」と揶揄されている小池都知事
実は、12日は定例会見も14時から開かれ、4時間後の出馬表明を睨んでこんな「声掛け質問」をしていた。
--知事、卒業証書は偽造ですか。偽造私文書行使罪ではないですか。
小池都知事:(無言のまま立ち去る)
「偽造私文書行使罪」と聞いたのは、先の郷原氏が6月6日のブログ「小池百合子氏『卒業証明書』提示、偽造私文書行使罪の可能性」で、小池都知事の卒業証書が偽造の場合、偽造私文書行使罪にあたる可能性があると指摘していたためだ。
小池都知事がもう一つの根拠として挙げた「カイロ大学の卒業認定」も、学歴詐称疑惑を打ち消す決定打になるとは言い難い。6月8日にカイロ大は
「1976年10月にカイロ大学文学部社会学科を卒業したことを証明する。卒業証書はカイロ大学の正式な手続きにより発行された」という声明を出したが、ますます疑惑を深めている可能性すらある。
「偽造私文書行使で刑事告発までされた小池都知事」(6月11日のJBpress)の中で作家の黒木亮氏は次のように指摘した。
「カイロ大学の声明の背景には、日本のメディアによる卒業証書類の追及を断ち切るのに協力してほしいという小池都知事側からの、文面も含めた要請があったのではないか」
都議会で学歴詐称疑惑を取り上げた4人の自民党都議の1人、川松真一朗都議も首を傾げていた。
「カイロ大学から声明が出されたならば、都知事は自ら卒業証書を出したほうが逆に疑惑は晴れると思います。都議会にも出してくださいというのが我々の求めてきていることです」
カイロ大の声明というお墨付きが出たのに小池都知事が卒業証書公開をしなければ、かえって
「卒業証書は偽造」「カイロ大は嘘」という疑心暗鬼が膨らむことになるのだ。
小池都知事の側近からも納得できる回答はなかった。出馬会見後、都知事選で選対本部長を務める荒木ちはる都議(都民ファーストの会代表)に単刀直入に聞いてみた。
――卒業証書、一部のメディアにしか出さないのは何か理由があるのですか。『週刊文春』には出していないではないですか。何でメディア差別をするのですか。
荒木都議:差別かどうかわからないですけれども。
――カイロ大が声明を出したのに(文春や都議会に)なぜ広く公開しないのですか。卒業証書を出さないのですか。
荒木都議:(無言のまま立ち去る)
小池都知事が出馬会見で学歴詐称疑惑否定の拠り所にした
「カイロ大の卒業認定声明」も「一部メディアへの現物(卒業証書と卒業証明書)の公表」も根拠薄弱で、疑惑は深まるばかりだ。と同時に、小池都知事と“共犯関係”にあるようにもみえる“御用メディア”への不信感もつのるばかりだ。
自らに好意的で十分な検証をしない“御用メディア”だけにしか重要な情報を流さないのが、小池都知事の世論操作術だ。“不都合な真実”を闇に葬る(ブラックボックス化する)手口ともいえる。都知事選告示の3日前になって小池知事は、石井氏や都議会の提示要求を拒み続けていた卒業証書と卒業証明書をようやく公表した。しかし、偽造説が打ち消されたわけではなく、真贋論争が本格化するのはこれからだ。『週刊文春』をはじめ、小池都知事の“御用メディア”以外のメディアがどれだけ追及していけるかに注目したい。
文・写真/横田一