まるで法廷ドラマ。電通と経産省の癒着と前田中小企業庁長官の嘘が次々に暴かれた6分間

いくつもの事業で名を連ねていた前田長官と電通・平川氏

20200612qa3 山添拓議員(8問目):「電通側の中心にいたのが平川氏です。エコポイント事業の申請サイト管理システムは電通からアメリカのSalesforce.comに外注されました。前田さんが紹介されたんじゃありませんか? 」 前田泰宏長官:「そういう、そういうのは記憶にございませんけれども。はい。青信号)」 *筆者注 質問に回答しているため青信号と判定しているが、直後の9〜10問目で明らかになる前田長官とSalesforceの関係を考慮すると、虚偽答弁の疑いがある。 山添拓議員(9問目):「2009年9月15日、Salesforceが都内で開いたイベントで前田さん講演されたんじゃありませんか?」 前田泰宏長官:「あの、講演、 講演したと思います。青信号山添拓議員(10問目):「その講演でエコポイントのシステムはSalesforceのサービスだと紹介されたんじゃありませんか?」 前田泰宏長官:「あの・・、そういう記憶ございませんですけれども、今、そういう記憶はございません。その、講演の中では。(赤信号)」 山添拓議員:「インターネットに今も記事が出ていますので、ご確認頂ければ良いかと思いますけれども。ですから当時平川さんと面識がないというのはちょっとにわかに信じ難いと思うんですね。」 *筆者注:このタイミングで山添議員が存在を明らかにした記事*には、2009年9月15日にSalesfotce主催のイベントで「家電エコポイント」の申請システムを「セールスフォース」と共同で構築した事例を「前田 泰宏氏」が講演した事実がハッキリと書かれている。よって、10問目は完全な虚偽答弁であり、赤信号と判定した。 〈*参照:IT Leaders「電子政府からミクシィまで――セールスフォースのイベントで国内クラウドユーザーが講演」2009年9月17日付〉

発注元のトップが再委託を把握していない!?

20200612qa4 山添拓議員(11問目):「その後もお二人はいくつもの事業で一緒に仕事をされてきました。2016年にサービスデザイン推進協議会が設立をされて最初に落札したのが、おもてなし規格認証事業。さらに次々と事業を受注しました。その発注は経産省 商務情報政策局サービス政策課です。当時、前田さんの役職はどこですか?」 前田泰宏長官:「えーっと、大臣官房審議官の商務情報政策局長担当だったと思います青信号)」 山添拓議員(12問目):「平川氏は当時(2016年)、電通の社員でもありました。電通への再委託は当然ご存知でしたね?」 前田泰宏長官:「えーっと、あのー、 認識しておりません。すいませんでした。(青信号)」 *筆者注:質問に回答しているため青信号と判定しているが、発注元である経産省 商務情報政策局の大臣官房審議官が再委託を知らないとは考えにくく、虚偽答弁の疑いが強い山添拓議員:「大臣官房審議官にありながら電通への再委託を知らないような事業が行われていた。こういうことなんでしょうか。今回の持続化給付金。担当は中小企業庁で長官が前田さんです。平川さんと前田さんというのは、そして電通と経産省というのは、10年以上に及ぶズブズブの関係です。前田さんが責任者の部局から平川氏が役員を務めるサービスデザイン推進協議会へ合計1500億円以上のお金が流れました。大臣、これ異常な関係だと。癒着、癒着だと言われても仕方ないと思うんです。」  以上が計12問に及んだ約6分間の質疑の全てである。  映像を確認すれば明らかなように前田長官は質疑中に明らかに狼狽しており、すぐにばれるような嘘を繰り返している。この質疑で明確な根拠(Salesforce主催イベントを伝える2009年の記事)によって虚偽答弁と断定できたのは4問目、5問目、10問目のみであるが、他にも虚偽答弁の疑いが強い答弁が残されている。特に、平川氏と2009年時点で知り合いだったこと、電通への再委託を知っていたことについて前田長官は頑なに否定し続けている。経産省と電通の癒着関係については今後も注視していく必要がある。 <文・図版作成/犬飼淳>
TwitterID/@jun21101016 いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身のnoteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(日本語版/ 英語版/ 仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。
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