カジノ誘致見直しについて吉村洋文・大阪府知事を直撃
「(大阪へのカジノ誘致の)見直しはしない」と断言した吉村洋文・大阪府知事(維新副代表も兼任)
コロナ禍でカジノ(IR)誘致が揺らぎ始めている。
トランプ大統領への大口献金者であるアデルソン会長が率いる米国カジノ最大手の「ラスベガス・サンズ」は5月13日、横浜や東京への日本進出断念を表明した。翌14日の『朝日新聞』は「横浜のIR誘致に暗雲―最大手の撤退、他社が続く恐れも」と銘打って
「他のIR事業者に同様の動きが出る可能性もある」と報じた。
この見立ては的中した。横浜だけでなく、大阪でも撤退の可能性が出てきたのだ。大阪へのカジノ誘致で米国カジノ大手のMGMと組んでいるのがオリックスだが、5月22日の3月期決算説明会で井上亮CEOが「今後数か月でコロナの影響を検証、良い投資であり得るのかを再検討する」として見直す方針を明らかにしたのだ。
この再検討発言を受けて筆者は6月3日、「最も評価する政治家」(
5月7日の『毎日新聞』)に躍り出た
吉村洋文・大阪府知事(維新副代表)の会見で、大阪へのカジノ誘致について聞いてみた。
――府として(カジノが)ビジネスモデルとして成り立つかどうかを検証、調査しないのでしょうか。「カジノは高収益性が得られる」というのは、コロナ時代の前である可能性がある。「もうカジノは終焉した」という学者の人もいますが、そうなるとカジノの高収益性でほかの施設を維持・運営するというビジネスモデルが崩れる。莫大なお荷物ができて終わりという可能性もあると思いますが、検証しないのですか。
吉村知事:誤解なきように申し上げますと、
IR事業は公営事業ではなくて民設民営事業です。ですので、収支性についても民間において判断されることになると思う。収支が成り立たないことになれば、お金を出す主体の民間のほうが「お金を出さない」という判断になるわけで、大阪府において公設IRをするわけではないので、詳細な収益モデルを大阪府でつくることはないです。
吉村知事「MGM・オリックスグループと歩調を合わせて進めていきたい」
大阪のカジノ(IR)誘致予定地である大阪湾の人工島「夢洲」。大阪万博の予定地でもあるが、交通インフラなどの整備が必要だ
5月20日の会見でもカジノ誘致について質問していたが、見直しを否定する発言しか返って来なかった。
――米国カジノ大手のラスベガス・サンズが日本進出を断念して、「他社も続く恐れ」という報道が出ているのですが、これを受けて大阪でのカジノを含むIR誘致について見直し、あるいは検証、調査などをする考えはあるのでしょうか。コロナ時代、ポストコロナ時代にカジノを含むIRが成り立つかどうかを含めて、MGMの経営状況等をリサーチする考えがあるかをお伺いしたい。
吉村知事:まずラスベガス・サンズについては、大阪の公募に手を挙げていないので、ラスベガス・サンズの意向については関知しませんし、関与するつもりもありません。
今、大阪のパートナーとして手を挙げていただいた「MGM(米国カジノ大手)」・「オリックスグループ」については、これは現時点でも、このコロナ禍にある中でも
「大阪と協力してやっていきたい」という意向を表明されています。
ですので、大阪府としてもこういったしんどい状況の中でも「一緒にやっていきたい」というふうに言ってくれるMGM・オリックスグループと歩調を合わせて進めていきたいと思っています。
――(カジノ誘致の)見直しは考えないということですか。
吉村知事:考えていません。