ヒップホップは反逆のカルチャー。手をあげ、拍手をするのはNG?<ダメリーマン成り上がり道 #32>
前回、業界の怖い人々について語りながらも、人を信用することの大切さを語ってくれたラッパー・RAWAXXX。そんな彼だが、現在のヒップホップシーンには、一言物申したいようで……。熱のこもるRAWAXXXにブレーキをかけるのは、当連載でおなじみのMC正社員だ。
——ヒップホップでは「自分を伝える」というのが重要な要素ですが、日常から自分を伝えるときに意識されていることはありますか?
RAW:「こういう対談とか取材は別ですけど、初対面の人の前ではあまり喋らないです。こいつ何でも喋るなって思われたくないというか。『こいつ、よう喋るな』っていう嫌な人いるじゃないですか? あまり喋らないっていうか、場に合わせて空気になって、フライングしないようにしてるっす」
——尖っているイメージとはだいぶかけ離れていますね。
RAW:「ただ、ラップはステージでの見せ方だと思うんで。『俺はこういうラップをするよ』っていうのは、どこでも言いますよ。(機械的に手を動かしながら)ライブ中に手をあげたりするお客さんとかいるじゃないですか。ヒップホップのゲームってそういうのじゃないところが大きい。例えば拍手はないし、かわりに声があって指笛があって……そういう文化なので。日本人のラッパーのやり方っていうのはコンサートとかと一緒で、それは“カルチャー”じゃない」
正社員:「難しいな」
RAW:「カルチャーじゃないことをやりたいなら、違うジャンルを作らないと。そのカルチャーに違うものを混ぜていったら、それはもうカルチャーじゃないんで。それはロックとかでもそうだし、レゲエとかでもそう。だから、コンサートのノリで手をあげたときには、『手下げろ』とか、『声出すな』とかいちいち言わないといけない。そういうところはハッキリ言うし、ステージの上では尖りまくってるすね」
——“尖っている”裏には、そういう理由があったんですね。
RAW:「バトルの現場ってそういうもんだと思うんで。ヘラヘラしてるときは勝つ気がないときすね(笑)。ラップしてて面白くなっちゃうときはあるすけど、それはそういう現場なんで。尖ってるときは尖ってることを言うし、柔らかいときは柔らかいことを言うし、ちゃんと使いわけようとしてるっす」
——ラップ以外で、影響を受けている音楽はありますか?
RAW:「ハウスとかテクノの速い系すかね。ドラムンベースとか、ダブステップとか。10代の頃は、よくああいう音楽のスゲえ客がいないパーティに行ってたっすね。そこで4つ打ちでも、トランスとかユーロでも……BPM180とか200近くでも、フリースタイルさせられてたっす。そういう遊びだったっすね」
——他のジャンルとも接したうえで、ヒップホップに対しての熱い想いがあるんですね。話を戻すと、「コンサートはこうやって楽しむもの」という“振りつけ”が嫌だし、それはRAWAXXXさんの思うヒップホップとは違うと。
RAW:「嫌っす。ヒップホップは嫌悪感を抱く人のほうが多いんですよ。反逆のカルチャー、レベルミュージックなんで。反逆心がない人たちが聴いても、自分のなかで本当にムカついていることや劣等感があって、その代弁してほしいことと音楽がバッチリ合ったときに成り立つんですよ。このシーンは、R-指定とか文科系のコたちが言ってきたことで、バーンと成り立ってきたんで」
手をあげたり拍手をしないでほしい
ヒップホップは反逆のカルチャー
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