麻雀を妨害する警察官らしき人々
東京・霞が関の検察庁前の路上で5月30日、SNSで集った有志による「
検察庁前テンピン麻雀大会黒川杯」の第1回大会が開催された。朝日新聞、産経新聞の記者や元記者らとの賭け麻雀を『
週刊文春』に報じられ辞職した、
黒川弘務・元東京高検検事長にちなんだ賭け麻雀大会である。レートは黒川氏と同じく「
1000点100円(テンピン)」。この大会の一部始終に密着した。
黒川氏は「訓告」処分止まりで懲戒とはならず。また黒川氏は現在のところ、賭博罪等での逮捕や送検はされていない。
「黒川杯」の参加者有志が大会会場で配布したチラシには、こう書かれていた。
〈
法務省刑事局の公式見解によると、テンピン麻雀は問題ないらしいので、「黒川基準」によるレート麻雀解禁を祝してテンピン麻雀を公然と実施する運びとなりました。
新基準の礎を築いた黒川元検事長に最大限の敬意を表し、大会名に氏の名を冠しました。また開催地は、同じく黒川元検事長への感謝を込めて、検察庁前といたします。〉
「黒川杯」はまず日時非公開のままネット上で告知され、実際に開催されたのは5月30日午後3時から。ウェブサイト等で日時が公表されたのは開催とほぼ同時だった。事前に主催者とやり取りがあった参加者、観戦者、取材者が、現地に集合した。この時点で取材に来ていた一般メディアはテレビ1社、週刊誌1社。それに私も含めフリーランサーが数人である。
開催直前の現地集合場所
東京メトロ霞ケ関駅の改札口で集合した一行が検察庁前に向かうと、すでに警察車両が1台、待機していた。
検察庁前の歩道橋下で主催者が雀卓の準備を始める。すぐに車から警官(たぶん)が降りてきて、「
通行の妨げになる。道交法違反だ」と言った趣旨のことを告げて撤去を求めてきた。
警官(たぶん)と押し問答をする者、
牌を並べ麻雀の準備をする者、「黒川杯」のプラカードを掲げるもの、黒川氏の顔写真を掲げる者、現場の状況を撮影する者、警官(たぶん)による撮影や妨害に抗議の声を上げる者。あっという間に大混乱に陥った。警官(たぶん)が続々と応援に駆けつけ、最終的には30人以上はいただろうか。
雀卓は歩道橋の階段下。
通行人の動線を塞がない隅に置かれていた。
実際に道を塞ぎ通行を妨げていたのは警官(たぶん)たちである。
警官(たぶん)は、主催者や参加者を押したり、牌を並べようとする手を遮ったり、あの手この手で邪魔をする。
途中から警官(たぶん)から警官(たぶん)に「
(雀卓を)囲め」との指示が飛び、複数の警官(たぶん)が参加者たちを押したり卓との間に身体を入れたりして、卓を囲んだ。もちろん、
「麻雀を打つ」という意味ではない。
卓を囲む参加者と警官(らしき人)
しかし
「強制撤去」ではないようだ。参加者たちが「暴力だ!」「器物損壊だ!」「
110番だ110番!」(最後のは私のセリフだった)などと叫ぶと、一時的ではあるが動きが遠慮がちになる。「(麻雀を)やめて下さい。お願いします」と繰り返しては、主催者や参加者から「
それは要請ですよね」と言い返される。
そして私が確認できた範囲では、参加者たちから身分を尋ねられて
所属や氏名を明らかにした警官は1人だけ。「
丸の内の警備員のマツシマ」さんだ(それって警察?)。それ以外は、警官の制服を着た「謎の人」であり、スーツやジャージなどを着た、それこそ本当に何者なのかわからない人物も混じっていた。
身分も明かさず法的根拠も明示せず、事実上の邪魔はするが、形式的には強制ではなく“お願い”であるかのような体を貫く。これが今回の警察(たぶん)の対応だった。