「正義感の暴走」という言葉への違和感。そこには微塵も正義などない

事態を悪化させるさまざまなバイアス

 そして、人間は一度、どちらかの味方についた瞬間から、その人を過剰に擁護するようになってしまう心理的バイアスを持っている。それが、「内集団バイアス」だ。  「内集団バイアス」とは、同情できる人に対してや、同じ価値観を持つ集団、同じチームを応援する人、家族、職場仲間など同じ集団に属する人に対して好意的になったり、優遇するようになるものだ。  例えば、応援しているチームが試合中に微妙なルール違反をしても無視できるが、対戦相手にはルール違反に対して過剰に厳しくなる。  さらに、片方に味方したあとに、自分の行動が間違っていたとしても、「確証バイアス」という自分に都合の悪い情報を無視するようなバイアスも働く。  番組を批判するツイートも多く見られるが、そのコメントしている人のなかにも、木村花さんにアンチコメントをした人が一定数いて、自分の行動による影響は無視して「アンチが出るように番組を作った番組側が悪いんだ」と、責任逃れをしている人もいるだろう。

自分の感情にも疑念を向けよう

 人は誰かの味方になった瞬間から、公平に物事を判断することができなくなる。「正義の鉄槌」を振るっている瞬間は、正義感に酔いしれて快感を感じているかもしれないし、その快感が更なる行動を刺激して、後戻りできないところまで行ってしまうかもしれない。どんなときも、自分の信じている正義が間違っている可能性を忘れず、正義感に依存しないように心がけたい。  謹んで木村花さんのご冥福をお祈りいたします。 <文/山本マサヤ>
心理戦略コンサルタント。著書に『トップ2%の天才が使っている「人を操る」最強の心理術』がある。MENSA会員。心理学を使って「人・企業の可能性を広げる」ためのコンサルティングやセミナーを各所で開催中。
1
2