写真/時事通信社
新型コロナの余波で乱高下するマーケットの中で、勝ち筋が見えるのはどこか。金と原油に狙いを定めた2人の爆益トレーダーに戦略を聞いた。
「株で確実に2倍、3倍を狙うのは難しい。でも、現金の信用が揺らぐとき、ゴールドの価格は間違いなく上がります。まさに今のように」
そう分析するのは、金や為替などを手広く手掛ける会社経営者の三平氏だ。
「最初に金の魅力に気がついたのはリーマンショック前後でした。当時、信用創造により、実際のマネーの流通額をはるかに超える『京』という単位のマネーが帳簿上、生まれていました。それが100年に一度の金融危機によって一斉に巻き戻されることになった。人類がかつて経験したことのない規模の信用収縮です。では、そこで価値が高まるのは何か。ペーパー資産ではなく現物、つまり不動産や金です。しかし、不動産は流動性がなく買いづらい。そこで買ったのが金でした」
金価格はリーマンショック直後の700ドルから3年後、1900ドルまで高騰した。三平氏が購入した100万円の地金はまたたく間に3倍となった。
「当時、FRB(連邦準備制度理事会)は現金をジャブジャブと印刷することで信用収縮に対抗しました。コロナショックで今、まったく同じことが起きています」
FRBがコロナショックへの対処法として選んだのは、過去最大規模の金融緩和だった。こうして刷られた紙幣が向かう先を考えることがポイントになる。
「大量に刷られた米ドル紙幣は何らかの資産に交換されます。不安が渦巻いている今、有望なのは埋蔵量が限られ、価値を保全しやすい金です。ビットコインも考えましたが、チャートの形がチューリップバブルとそっくり。手を出しづらい位置にあるため、今回は外すことに。よって金の現物を1000万円分、購入しました」
リーマンショック時も今回も、三平氏が購入したのは金融商品ではなく現物の金。保管も面倒だろうに、なぜ現物なのか。
「昔から用心深いお金持ちの金庫には、札束と金がつきものです。なぜなら現金の信用が揺らぐときには、金融機関の信用も揺らぐから。金の価格に連動する金融商品を買っていても『絶対安全』とは言い切れません」
とはいえ、現物の自宅保管には盗難リスクがある。
「そのため今回は現物とCFDで1000万円ずつ分散しました。CFDでは短期で取引しながら、現物では長期視点のポジションを積み立て方式で買っていくことを考えています」
’08年のリーマンショック以降、FRBのバランスシートは膨張し、あふれたマネーが金へと流れて1920ドルまで急騰した。今もFRBのバランスシートは未曽有のペースで膨張しており金高騰は確実か
上値のメドはどれくらいまで見据えているのか。
「FRBが行っている金融緩和は未曽有の規模。バランスシートは急激に膨れ上がっています。それだけ現金がバラまかれているということですから、最終的にはここから2倍は間違いないだろうし、10年後には3倍になっていても不思議ではない。現実的なターゲットとしては1トロイオンス=3000ドルです。CFD口座の買いポジションには3000ドルに利益確定の指値を入れています」
金の史上最高値は、リーマンショック後の’11年につけた1920ドル。3000ドルとなれば高値を一気に更新することになる。
三平氏のヨミによるとターゲットは3000ドル。10年後まで視野を広げれば3倍の4000ドル台があっても不思議はないと強気な見通しのもと、現物のまとめ買いに加えて積立購入も実行中