コロナショックで見直されている金に比べ、旗色が悪いのは原油だ。先物市場では史上初となるマイナス価格を記録。景気低迷による需要減少で大きな上昇は望めそうもない。
ところが、そんな原油について「その時々で旬の市場を取引するのが僕のスタイル。今、注力しているのは原油です」と話すのは、200万円を元手に3月だけで1500万円を荒稼ぎした工場勤務の兼業トレーダー、ひふみ氏だ。
「原油に着目したきっかけは3月。OPECによる減産協議が決裂したことでした。ニュースが出たのが週末だったため、週明け月曜日の取引開始時は大荒れの展開になることがわかっていた。そこを狙って取引しました」
週末にニュースが出たときは、月曜早朝の市場は荒れやすい。悪材料ならば、前週終値から下方に大きく乖離し、窓を開けて始まる。狙うのはそこだ。
「月曜早朝は売られすぎ、買われすぎといった動きになりやすいため、短期的には窓を埋める方向へと動きやすい。そこを狙って出勤前にトレードしていました。原油市場はボラティリティが非常に大きいため、こうしたシンプルな戦略でも短時間で大きく稼ぎやすい」
週末のニュースへの反応が集中する月曜7時はデイトレードのチャンス。行きすぎた値動きとなりやすく、窓が開いたときには埋める方向へと動きやすい。月曜日は早起きしてトレードする価値アリ
月曜の早朝以外では、仕事から帰って夜間にするトレードがひふみ氏の主戦場だ。
「月曜日早朝は毎週チェックしますし、夜にはリバウンドを狙ってデイトレードしていました。原油は値動きが激しいので、リバウンド狙いがしやすい。上ヒゲや下ヒゲに着目して、『長い下ヒゲが出たら買い、長い上ヒゲが出たら売り』といったように、シンプルな戦略でトレードしていました」
淡々と語るひふみ氏だが、マイナス40ドルを記録した相場ではどう取引していたのか。
「あのときは直前に連敗していたので休んでいました。『20ドルを割ったらセリクラ(セリング・クライマックス)かな』と考えていたので、もしトレードしていたら下落途中にリバウンド狙いの買いでヤラれてた可能性が高かったと思います。ただ、損切りは絶対に入れるので退場まではいかなかったとも思っています。”一度決めた指値は途中で変えないこと”をルールとして課しているので」
ハイボラティリティゆえに破滅しやすいのも原油市場。リスク管理は欠かせない。
「資金が増えたら定期的に出金し、利益を確保するのが大事です。あとはGMOクリック証券の原油CFDは朝6時から7時の間がメンテナンスで取引できない。そこで何かニュースが出て不利な方向へ動いたら対処できないので、6時を超えてポジションを持たないようにしていました」
長期的な値上がり期待の金と、高ボラティリティで一攫千金の可能性が高まっている原油。ポストコロナの投資対象に加えてみては。
【会社経営者・三平氏】
会社経営のかたわらFXなどに取り組み収益は3億円超え。コロナ相場でも4000万円を超える利益を獲得。次の注目は金の上昇。ツイッターは
@FXman_yen
【兼業トレーダー・ひふみ氏】
工場で働きながら原油や仮想通貨、為替などを対象に”旬の市場”で勝負する。1月はリップル、3月以降は原油で勝負中。ツイッターは
@aomorininniku
<取材・文/高城 泰 写真/時事通信社 図版/ミューズグラフィック>