小川議員の質疑に見当違いな答弁をする安倍総理(筆者のYouTubeチャンネルより)
検察庁法改正で注目を集めていた真っ最中かつ緊急事態宣言下、
黒川弘務検事長が
産経新聞記者宅で、
産経新聞の記者2名、朝日新聞の元記者1名と賭け麻雀に興じていたという耳を疑うほど衝撃的な記事が2020年5月21日に
週刊文春に掲載された。しかも黒川氏は数年間に渡って
月2〜3回というペースで賭け麻雀を続けており、完全な常習犯であったと思われる。
さらに驚くべきことに記事が掲載された同21日に森雅子法務大臣が発表した黒川氏の処分は「
訓告」。これは
懲戒処分よりも軽く、約6000万円とも言われている退職金は黒川氏に満額支給される見込みだ。だが、人事院が示す
国家公務員の懲戒処分の指針では、「
常習として賭博をした職員は、停職とする」と明記されており、指針に従えば懲戒処分にあたる停職となるはずだ。
翌日の5月22日、無所属(会派は立憲民主・国民・社保・無所属フォーラム)・小川淳也議員は衆議院厚生労働委員会で本来は社会福祉法案についての質疑を行う予定であったが、安倍晋三総理にこの矛盾を約4分間にわたって質問。本記事では、この約4分間の質疑を一字一句漏らさずにノーカットで信号機で直感的に視覚化していく。具体的には、信号機のように3色(
青はOK、
黄は注意、
赤はダメ)で直感的に視覚化する。(※なお、色表示は配信先では表示されないため、発言段落の後に( )で表記している。色で確認する場合は本体サイトでご確認ください)
質問に対する安倍総理の回答を集計した結果、下記の円グラフのようになった。
<色別集計・結果>
●
安倍総理:
赤信号 84%
灰色 16%
*小数点以下を四捨五入しているため、合計は必ずしも100%にはならない
赤信号が8割強を占めており、
青信号は0%。つまり、質問には一言も答えていない。また、不要な言葉や意味不明な言葉を意味する
灰色てが16%もあり、何を言っているのか理解しづらい場面が度々見受けられた。いったいどのような質疑だったのか詳しく見ていきたい。
また、実際の映像は筆者のYoutubeチャンネル「
赤黄青で国会ウォッチ」で視聴できる。
黒川検事長への処分についての質問に一切答えなかった安倍総理
まず、小川淳也議員は黒川検事長の処分が軽すぎることを率直に指摘していく。その質疑は以下の通り。
小川淳也議員:「黒川さんの処分についてお聞きします。総理は厳正な処分だと先ほどからおっしゃってますが、
訓告処分とは国家公務員法上の懲戒処分ですらありません。これ退職金も6000万とも7000万とも言われますが、これ事実上の行政上の注意。『教えた』というに過ぎないんですね。この訓告というのは。これが今の国民感情に照らして適切だとはとても思えません。撤回して重い処分を求めます。」
安倍総理:「
あのー、おー、先ほど、おー、まあ、答弁をさせていただきましたが、まずこの記者会見との関係において言えばですね、あのー、大阪府、そして京都府、兵庫県、えー、の解除。これも極めて重い決定では、あー、ございますが、その上においてですね、えー、この、お、このあと25日にもですね、えー、もう一度これは決定評価をさせて頂き、決定をするわけでございまして。えー、その際にはですね、えー、この記者会見を予定をしている、うー、ところで、えー、ございました。えー、これは別に記者会見を、あの、やるかやらないかということでももちろん、で、ケイチョウを決めているわけでは、あー、ございませんが、それもありですね、そういう日程にさせて頂いているところでございました。概ね、その前の段階においてはですね、えー、この事案の前には大体そういう方向で決めていたところでございますが、だいたい多くの方々は、えー、この方針でいこうということで了解を頂いているものと、こう思います。(
赤信号)
と同時にですね、と同時に、あのー、7分とおっしゃいましたが、私はずっと出た質問には全てお答えをさせて頂いているということでございまして、あらかじめ時間を切っていたわけでは全くないわけで、えー、ございます。(
赤信号)
そして今 、えー、これはあの、えー、今回はこれ、えー、社会福祉法案の質疑であろうと、重要法案の質疑であろうとこう思っているところでございますが。ただ今のご質問についてはですね、これは、あのー、まあ法務委員会においてですね、法務省に、えー、質問をして頂ければとこう思うところでございますが、あー、検事総長が、検事総長が、えー、事案の内容等諸般の事情を考慮し、えー、これは処分を行ったものであった。このように承知をしているところでございます。(
赤信号)」
安倍総理の答弁1〜2段落目は、
質問と全く関係が無いため、
赤信号とした。1つ前の質問で小川議員に指摘されていた、前日(5月21日)に3府県(大阪、京都、兵庫)で緊急事態宣言が解除されたのに従来と違い首相記者会見が実施されなかったこと、ぶら下がり取材が7分間と短ったことについて安倍総理は答弁されている。
1段落目:3府県で緊急事態解除した前日に記者会見が無かったことについて
2段落目:前日のぶら下がり取材について
つまり、安倍総理は質問が別の話題(黒川検事長の訓告処分)に移ったことは完全に無視して、1つ前の質問について自分が主張したいことを一方的に述べているに過ぎない。
その後の3段落目は論点をすり替えており、
赤信号とした。
3段落目
【
質問】黒川氏の処分の厳正化
↓ すり替え
【
回答】黒川氏の処分の
決定者
見ての通り、
安倍総理は質問には一言も答えなかった。