第一波は抑えられた「かもしれない」。まだ「収束しそう」と安心するのは危険

ワクチンができるまでは我慢が強いられる

fernando zhiminaicela via Pixabay

 42府県で緊急事態宣言が解除された。しかし、なぜ感染爆発が抑えられたのか、本当の理由がまだわかっていない今、「何となく収束しそう」と安心するのは危険。今後、再び感染が拡大したりしても落ち込まず、クールに振る舞うことが必要だ。

なぜ感染爆発が抑えられたか、まだわかっていない

 日本中の人が「外出自粛、活動自粛」という春を過ごすことになった。  全国に出ていた緊急事態宣言は39県については14日、大阪、兵庫、京都の3府県でも21日に解除されたが、国内の感染が完全に収まったわけではない。  日本はここまで、欧米のような感染爆発は起こらずに済んでいる。しかし、一番の問題は「なぜ爆発が抑えられたのか」について本当の理由がまだわかっていないことだ。「安倍政権の対策が優れていたから」という声もあるが、2月のダイヤモンド・プリンセス号船内で多くの乗員乗客に感染が広がる中、適切な対応がなかなか取れなかったこと、保健所を介さないと検査の手続きが取れない形にしたため、検査数が極端に抑制され、正確な感染者数や感染の動向をいまだに把握できていないことなどを考えると、必ずしも「最善の対策が取られた」とは言いがたい。日本の生活習慣や気候、進んだ医療制度などが関係しているのは確かだろうが、医学論文になるような分析はまだ行われていないのだ。

「感染爆発が起きなかったからよし」では何も知見が蓄積しない

 理由はともあれ、感染爆発が起きなかったからよしとすべきだと言う人もいる。それは違う。今後、ワクチンができるまではこの感染症は第2波、第3波と流行を繰り返すことは確実であるし、さらにはもっと別の感染症が起きる可能性もある。今のうちにきちんと分析を行い、評価し、必要なら反省をしたりしておかなければそれに間に合わない。ビジネスでは「PDCAサイクルを回せ」などと言われ、曖昧や運まかせはよくないと誰でも知っているのに、なぜ新型コロナウイルスでは「まあ、とにかく収まってきたのだからいいじゃない」という段階で緊急事態宣言を解除しようとしているのか、さっぱりわからない。
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何となく収束しそうと安心するのは危険
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