「コロナのアホボケカスー!!」。300円の「お母さん応援 お子様弁当」に込めた思い

応援弁当300円 コロナで学校が休みになって、子どもが一日中家にいる。給食がないからお昼ご飯も用意しなくちゃいけない。そんな毎日が続いて頭を悩ませるお母さんは少なくないのでは? いや、お父さんも悩んでいるかもしれませんが、まだまだ現実には「食事の用意はお母さん」という家庭が多いでしょう。  そんなご家庭に「お母さん応援 お子様弁当」はいかがですか?

「お母さんを応援したい」という気持ちから生まれた300円の弁当

谷9交差点南東角

谷9交差点南東角にあるスタンディングバー「BATA2」

 大阪の大通り、谷町筋と千日前通りが交差する谷町9丁目、通称「谷9(たにきゅう)」。その交差点の南東角にあるお店「BATA2(バタバタ)」「お母さん応援 お子様弁当」は販売されています。  このお店、普段は夕方5時から深夜3時まで営業するスタンディング・バーで、20代30代の若者を中心に賑わっています。ところがこのコロナ禍で通常営業をとりやめ、昼11時からのテイクアウト&デリバリーのお弁当販売のみの営業に切り替えました。  そこまでは全国いたるところで見られる光景ですが、その先にちょっとしたアイディアがありました。  私がそのことに気づいたのは、ちょうどお昼時に店の前を通りかかった時でした。谷9は私が住む上本町とは目と鼻の先で、この店にも以前からよく通っています。ふと店の入り口の上を見ると「お母さん応援 お子様弁当」の文字が目に入ったのです。
お母さん応援お子様弁当

お母さん応援お子様弁当。これで300円

 私は店長のシュージ(33歳)に声をかけました。 ――何なの? このお弁当は? シュージ:ああ、これはですねえ。コロナで子どもたちの食事の用意が大変なお母さんを応援しようという意味で、特別に用意してるんですよ。普通のお弁当は500円ですけど、これは応援特価で300円です。

「エール飯」をヒントに、原価ギリギリで提供

お弁当を手渡す店長のシュージ

お弁当を手渡す店長のシュージ

――どうしてこれを思いついたん? シュージ:いや、コロナで苦しい飲食店を応援しようっていうんで、いろんなところで「エール飯」というのが始まってるじゃないですか。 ――ああ、お客がテイクアウトした料理の写真をハッシュタグ付けてSNSに載っけて拡散するという、あれね。 シュージ:エール飯の記事をしばらく前から見ていて、ぼくらも微力ながら社会の役に立てることができたらいいなあと思いまして。それで、休校や休園でストレスのたまったお子さんと、そのお世話でストレスのたまるお母さんのためにということで始めました。 ――偉い! お前も二人の子の父親になって、少しはオネーチャンじゃなくお母さんの気持ちもわかるようになってきたということやな。するとこのお弁当はお母さんとお子様限定やね? シュージ:まあ、実際に食べるのはお子様限定にしてほしいんです。なにせ300円というのは材料の原価ギリギリですから、調理の手間賃や光熱費も出ません。 ――そうなんや。売れてもお店に利益は出ないんや? シュージ:利益どころか、マナブくん(調理担当・38歳)が疲れるだけですね(笑)。でも、もともと社会の役に立ちたいということで始めたことですから。 ――実際、どのくらい売れてるん? シュージ:だいたい1日に10個くらいですかね。でもこの前の休日は20個以上も売れました。うれしい悲鳴です。
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テイクアウトメニューを広める「#TakeOutMe」
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