まず、森大臣の答弁は全て質問に回答しており、青信号とした。
そして、後藤議員が指摘した内容を改めて整理すると、以下のようになる。
【
1問目】
検事長が63歳以降も居座れる規定をつくらなくても公務に支障が生じる事例は無い
→森大臣の回答は「Yes」
【
2問目】
検事長が63歳以降も居座らなければならない立法事実の具体例は黒川さんの件のみ
→森大臣の回答は「Yes」
【
1問目と2問目を踏まえた結論】
黒川検事長の人事は検察庁法改正案の唯一の立法事実である(=関係がある)
つまり、この質疑のほんの3日前(5月12日)に森法務大臣が記者会見(参照:
朝日新聞)で述べた「
黒川検事長の人事と検察庁法改正案は関係ない」という発言は虚偽であると森法務大臣自らが答弁で認めてしまっている。
この後藤議員の質疑は約44分間に及び、上記のやり取りは序盤のほんの一部分である。こうした後藤議員の鋭い追及に耐えられなくなったのか、終盤に森法務大臣は質問内容と全く関係ない原稿内容をただ繰り返し読み続け、同じ自民党の松本文明委員長はそれを全く注意しないため、委員会は紛糾した。その終盤の質疑については
後編の記事で紹介したい。
<文・図版作成/犬飼淳>
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いぬかいじゅん●サラリーマンとして勤務する傍ら、自身の
noteで政治に関するさまざまな論考を発表。党首討論での安倍首相の答弁を色付きでわかりやすく分析した「信号無視話法」などがSNSで話題に。
noteのサークルでは読者からのフィードバックや分析のリクエストを受け付け、読者との交流を図っている。また、日英仏3ヶ国語のYouTubeチャンネル(
日本語版/
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仏語版)で国会答弁の視覚化を全世界に発信している。