在宅勤務、外出自粛、公園の遊具閉鎖。続く休校や休園での自宅育児を前向きに乗り切る人々。
新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため、休校や休園、保育園登園の自粛が続いている。自宅育児をしながらの仕事にヒーヒー言っているのは、筆者だけではないはず……。
緊急事態宣言は5月6日までと思っていたら、31日まで延長(39県については14日の安倍首相会見で解除が表明された。東京、大阪や北海道、埼玉、千葉、神奈川、京都、兵庫の特定警戒の8都道府県については、21日に再検討し、場合によっては31日を前に解除になる可能性もある)。感染状況を見れば仕方がないとはわかっていても、きついのも事実。そんな状況ではあるが、現実に向き合って工夫で乗り切っている人もいる。
何かと暗いニュースが目立つので、ちょっとは明るい面を見つめたい。そこで、「わたしたち、こんなふうに休校、休園、登園自粛生活を楽しんでいます」というアイデアを聞いた。
6歳と3歳の男の子を育てる田村さん(仮名、20代女性、小学校の休校と幼稚園の休園)の気がかりは、小学校に入学後一週間で休学になった上のお子さんだった。
「息子は小学生生活を待ち望んでいただけに、かなりがっかりしていました。自宅にずっといる毎日にストレスがたまり、イライラしたり、下の子とケンカをすることも増えてしまって……」
息子さんが不満に感じるのも無理はない。本来であれば学校にいるはずの時間に家にいる。もう少しで送れるはずだった日々を過ごせないことのストレスは大きい。
そんな長男に対して、田村さんはどんな対応をしているのか。
「普段ならすぐに捨ててしまう乳酸菌飲料の容器を洗って取っておき、ある程度ストックができたらボウリングのピンにして親子一緒に遊びます。またネット通販で溜まったダンボールを使って秘密基地をつくり、同じくダンボール製の武器で戦いごっこをして楽しんでいます」
ほかには、「小学校の雰囲気を自宅に取り入れています」と田村さんは話す。小学校の授業1コマと同じ45分を使い、「ママちゃん先生の特別授業」を行っているという。
「毎日できているわけではないのですが、息子に英単語を教えたり、算数の問題を作ったり解いたりすることが多いです。また課外授業として、息子に自宅近くの地図を見せて『もし変な人がいたら、交番以外のどこに助けを求めればいいと思うか』を質問し、どうすればいいかを一緒に考えることもあります」
そのほかにも、子ども用の包丁やキッチンハサミを使って一緒に料理をしたり、塗り絵や楽器演奏をしたりして過ごしている。
毎日同じことを繰り返すのではなく、「違い」を演出することで息子さんを飽きさせない。田村さんの努力のかいあって、息子さんは「今日も楽しかった!」と笑顔になることが増えている。
続いては小学校4年生の男の子を育てる大石さん(仮名、40代女性、小学校の休校)のケース。大石さんは、「子どもが自発的に勉強をしたくなるような声がけ」を意識している。
「ちょっと前まで毎日顔を合わせていた友だちや先生に急に会えなくなるわけですから、子どもが戸惑うのは当然です。休校のせいで『自分はしかたなく自宅で勉強をしている』というやらされ感を抱くことなく勉強して欲しいと思っています」
単に「勉強をしなさい」と言うのではなく、どんなことに興味があるのか、どんなところでつまずいているのかなどを親子で話し合う。大石さんが息子さんのできていることを褒めると、「オレ、頑張ってる」と得意げな表情を浮かべるという。
「あとはこんなこともありました。息子が以前から読みたいと言っていた『時間の使い方』についての本を買って読ませた時、『どんな内容だった?』『お母さんに教えてくれないかな?』とお願いしてみました。息子が一生懸命に内容を説明する姿が印象に残っています。息子が面白さを感じ、興味を持てることを伸ばしてあげたいと思いました」
息子さんは時間の使い方の本を気に入ったことで、毎朝5時すぎに起き、午前10時にはやるべきことを終える生活が定着。午前中の残り時間で好きなことをして、満足度が上がっているという。
ネット通販で増えたダンボールで秘密基地をつくる
小学校の授業と同じ45分を使い、「ママちゃん先生の特別授業」を実施
声かけを工夫したら、「オレ、頑張ってる」とご機嫌に
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