在宅勤務、外出自粛、公園の遊具閉鎖。続く休校や休園での自宅育児を前向きに乗り切る人々。

仕事は朝に終え、日中はひらがなや数の勉強。3密を避けて公園遊びも

 3歳の女の子を持つ阿部さん(仮名、20代女性、登園自粛)は、朝の時間帯に仕事をして、仕事が終わった後はお子さんと遊ぶ時間に充てて仕事と育児の両立を図っている。 「私の仕事中にはネット動画を見せることが多いですが、仕事がすんだら娘と知育玩具で遊んだり、お菓子をつくったりして過ごします。3密にならないように混雑状況を見ながら、週に数回は公園で体を動かすようにしています。娘は体を動かすのが好きなので、嬉しそうにしていますよ」  阿部さんは、緊急事態宣言発令前の3月から自主的に保育園への登園を自粛していた。娘さんは自粛生活開始時にはネット動画を楽しそうに見ていたが、すぐに飽きて不機嫌になることが多かったという。「今でも遊びのネタ探しには必死ですよ」と阿部さん。 「以前のように登園できるようになるまで時間がかかると思い、子ども用の通信教育を始めました。反応が気がかりでしたが、予想以上に喜んでくれたホッとしています」  現在、娘さんはひらがなや数字、シール遊び、絵本などに興味津々で、阿部さんと一緒に学んでいる。

社内のオンライン会議に子どもが入ってきても「仕ない」と割り切った

 3歳の男の子を育てる和田さん(仮名、30代男性、登園自粛)は、「できるだけ保育園と同じ生活リズムを心がけています」と話す。 「保育園からは5月31日までの登園自粛をお願いされていますが、『感染状況によっては自粛延長を切り上げる可能性がある』と言われています。息子が元の生活にスムーズに戻れる様に、規則正しい生活を大切にしています」  それ以外の工夫としては、「子どもがある程度仕事に入り込んでくることを許した」という。 「会社のミーティング中に息子が寄ってきて画面に映るのが嫌だったのですが、彼からすれば画面にたくさんの人がいて私が喋っている様子が面白いのでしょう。社内の人には『子どもが映るかもしれませんが、よろしくお願いします』と伝えて、リラックスしてミーティングに臨んでいます」

長く一緒に過ごして気がつく子どもの成長

 4人の方に自宅育児の工夫を聞いた。それぞれ大変さを感じながらも、知恵を絞って緊急事態宣言発令下の生活に向き合う様子が伝わってくる。生活の変化に戸惑いを感じつつも、今だからこそ感じた気づきもあると4人は口を揃える。 「ここ一年は夏休みも冬休みも幼稚園に行っていて、家で過ごす時間が少なかったんです。子どもたちの可愛い姿をたくさん見られるのは嬉しいです」(田村さん) 「自宅学習では、お友達や先生との関わりが希薄になりますし、仲間とのつながりをどう構築するかが課題です。一方で登校しなくても学習はできるし、子どもが力を発揮できるリズムで過ごせるのはいいかなと感じました。学校と自宅学習の双方の良さを知ることができました」(大石さん) 「子どもとずっと一緒にいることで、『こんなことが好きなんだ』『こんなことができるんだ』のように今まで知らなかった、気づいていなかった子どもの一面を知ることができました。同時に『私はこれまで本当に子どもと向き合えていたのか』と、子どもへの接し方を考えるきっかけになりました」(阿部さん) 「平日の日中から子どもと遊ぶ生活が新鮮!『いつの間にかいろんな言葉を覚えているんだだな』や『車の名前を覚えているんだな』のように子どもの成長を実感できるのが嬉しいですね。家族が揃って夕飯を食べる生活を送ったことで、自分の働き方を見つめ直すようになりました」(和田さん) <取材・文/薗部雄一>
1歳の男の子を持つパパライター。妻の産後うつをきっかけに働き方を見直し、子育てや働き方をテーマにした記事を多数書いている。
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