このように、
意識的な行動を繰り返していくことで、直感的な思考パターンや行動パターンへと刷り込むことができる。今、あなたが抱えている直感は何に基づいて意思決定が行われているのか把握できているだろうか。何を「正しい」と定義しているか分からない完全なるブラックボックスの直感に従うことで、本当に正しい判断をすることができるのだろうか。
だからこそ、「直感に従って生きるべきだ。あなたの直感は正解を知っている」という考え方は、言ってることは正しいのだが、直感というブラックボックスの中にある「正解」の定義について明らかにする前に直感に従ってしまうと、どこに向かうかわからないコンパスに船の行先を任せてしまっているようなものだ。
まずは、
直感の中身を分析するか、教育させる必要があるのだ。
では、どのようにして、直感を教育すればいいのか。それは、「
あなたが『正しい』と思う行動の繰り返し」である。
当たり前のようだが、「あなたにとって『正しい』とは何か?」について即答できる人は少ない。それを即答できる人は、日頃から自己分析ができていたり、自己啓発本に書かれているワークをしっかりやっている人だ。
自分にとって
「正しい」と感じることは何かを分析したり、理想とする人物の行動を分析して、「こういうときはどうするべきか?」「あの人ならどうするか?」という
熟考を繰り返しながら、行動を修正していく必要がある。
コロナで外出自粛中だからこそ、自分の中にある「直感の指針」や「正しさの定義」について、棚卸しをして、
自分がどのような指針や定義に沿っているのか知る時間を作ってみてはどうだろうか。もしかしたら、「どうやったらラクか?」という指針で動いてしまっていた人もいるかもしれない。
もし、それが自分が目指したい方向性を向いていない場合は、
意思決定の度にシステム2を稼動させて、「どう行動すべきか」熟考したうえで行動に移すのだ。運転に慣れるまで時間がかかるように、直感を矯正するまでも時間がかかる。しかし、それを乗り越えると、直感的に理想の行動を起こせるようになる。
直感に従うということは、熟考を伴った行動の先にあるものなのだ。「考える必要がないから」というラクな気持ちで、直感に従えば良いというものではない。直感はトレーニングをした先に使うことができるのだから。
【参考文献】
『ファスト&スロー』ダニエル・カーネマン
『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』マルコム・グラッドウェル
<取材・文/山本マサヤ>