父親からの借金でイベント拡大。それでも凱旋MCBATTLEが成功できたワケ<ダメリーマン成り上がり道 #29>

イベントが黒字になる転換点

——当初は赤字続きとのことですが、黒字転換したのはいつ頃ですか? 怨念:「去年やったShibuya O-EASTからですかね。『イベントって、黒字で何十万とかまとまったお金が入るんだ』って思いましたね。チケットの金額と集客のバランスですよね」 正社員:400〜500人の人を集めるには、結構出演者を用意しなきゃいけないんですよ。そのたびにギャラもかかるし。ただ、1000人とかになれば、それが儲かるようにはなると思いますけど。この記事を読んでも、絶対真似しないほうがいい!」 怨念:「あと、みんなが思っている以上にオーガナイザーって仕事は体によくないですからね。精神状況も含めて」 ——まだ23歳ですが、イベントを主催するにあたって年齢で損したことはありますか? 怨念:「逆に若いからこそ、得したことのほうが多いと思いますよ。初対面とか、目上の人と話すときも、若いからこそ気持ちを正直に伝えられるというか。例えば、40代の人がイベントを始めて、普段のギャラが5万円とかの人に『すいません、お金がないので1万円で出てください!』って言ったら、『は?』ってなるかもしれないですよね」 ——「舐めてるのか!?」ってなりますよね。 怨念:「でも、20代のコがどうしても出てほしいって気持ちと、ギャラはこれしか出せませんっていうのを正直に伝えたら、気持ちが伝わった人はそれで出てくれるので。お金だけでなく、いろんな面で助かったことのほうが多いです」

ヤンチャだった過去を捨てられた理由

——イベントを作り上げていくうえで、大事にしてるのは先ほどおっしゃったような悪口を言わないなど、気持ちの面が大きいですか? 怨念:「一番大事なのは一般常識を持つことじゃないですかね」 正社員:「怨念も最初ラッパーとしてMCバトルに出ていた頃は、常識なかったですからね。ヤンチャだし、いきなり坊主頭にしてきたりするし。MC MIRIちゃんに中指立ててラップしたり、じょうとバトルして、掴み合いになったり。一度、僕が一人でGADOROのワンマンに行ったら、知らない女の人に声かけられて『私、怨念JAPくんにヤリ捨てされたんですよね……』って言われたこともありますよ(笑)。これは絶対書いてほしいな(笑) そのときめっちゃ女癖悪かったもんね?」 怨念:「19歳ぐらいまでに、普通の人の人生の3倍分ぐらい遊びましたね」 正社員:「でも、優しいし、ルックスもいいし、それで若かったら女癖が悪くて当たり前だよ。最近はそれすらも直してるから。あんまりいじるところがなくなってきた(笑)」 怨念:「好き勝手やりまくって適当だったから、スイッチを切り替えるタイミングがハッキリしてましたね。ズルズル引きずらないというか」 正社員:「自分で気づいてないけど、それはヒップホップが成長させてると思うんですよね。イベントをやってくなかで、VUENOSで年に3回やって……。それってスゴく大変なんですよ。下手したらO-EAST3連発より難しいかもしれない。そういうことをやってくうち、自分が少しでも隙があっちゃダメだと気づいたと思うんですよ。それを気づかせてくれたのがヒップホップだから、スゴいですよね」 <構成/HBO編集部>
戦極MCBATTLE主催。自らもラッパーとしてバトルに参戦していたが、運営を中心に活動するようになり、現在のフリースタイルブームの土台を築く
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