野口悠紀雄氏に聞く、コロナ時代に自分の能力を伸ばす方法

野口悠紀雄氏

野口悠紀雄氏

 新型コロナウイルスの影響で、4月7日より緊急事態宣言が発令されている日本。外出自粛や在宅勤務など、すでに日常生活に大きな変化が訪れているが、私たちはこれらの変化をどのように捉え、そしてどのような心構えで日々を過ごすべきなのか。  経済学者であり、一橋大学名誉教授、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問を務める野口悠紀雄氏に話を聞いた。

在宅勤務は「能力主義」への転換をもたらす

 新型コロナウイルスの拡大を契機にして、Zoomなどを活用したオンライン会議や在宅勤務など、すでに働き方は大きく変わっています。こうした変化はコロナ収束後も続いていくことでしょう。  在宅勤務による働き方の変化で最も重要なのは、成果主義、ひいては能力主義に転換していくという点です。これまでは、成果よりもオフィスにいるかどうかが評価されていました。上司に「おい」と呼ばれた時に、「はい」と答えられるかどうかが重要だったわけです。  しかし在宅勤務の仕組みが続いていけば、必然的に成果主義に変わっていかざるを得ません。そして成果をあげるには能力を持っていなければならない。つまり、能力主義への転換と言ってもいいでしょう。

ゴロゴロ寝ているか、勉強しているかで差が開く

 能力を高めるのは、勉強です。仕事をするには能力が必要で、、自分の能力を高めるには勉強が必要なのです。容易に外出できないからといって今の時期にゴロゴロしているのか、それとも勉強するのかによって、コロナ後の時代に差がついてきます。今の時代こそ、自分の能力を高めることに注力すべきなのです。  多くの人は勉強というと学校にいって勉強することだと考えますが、それは思い込みです。若い時に学校に通うことは社会的な生活の訓練も兼ねているわけですから必要ですが、社会人が個々の能力を高めるためには必ずしも学校に通うことが最適な方法ではありません。学校に行かない勉強、つまり、独学が重要なのです。

独学は「学校に行って勉強すること」の代わりではない

 例えば、英語学習を取り上げてみると明らかです。多くの人が仕事で英語を使えるようになりたいと考えていますが、仕事で使う英語は英会話学校では学べません。なぜかと言うと、仕事で使う英語は分野によって非常に異なるからです。専門用語がわからなかったら話になりませんし、逆に専門用語さえわかれば多少文法が間違っていたとしても通じます。  英会話学校では「こんにちは」「ごきげんよう」といった誰にでも必要な言葉を教えていますが、専門用語は教えてくれません。独学は「学校に行って勉強すること」の代わりではないのです。
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独学を続けるコツは「教える」こと
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