コロナ緊急事態が続く日本と、収束に近づくマレーシア。どこで差がついたのか?

外出した違反者は逮捕、罰金刑や禁固刑も

マレーシアイメージ1 翌々日からマレーシアは鎖国(出入国禁止)状態になり、国内でも地域外への移動が禁止された。この時点で、同国での累計発症者数は566人。同じ日の日本は794人だった。サラワク州ミリ市在住のパヤ・イマン(仮名・女性)はこう語る。 「3月18日以降、移動が許されたのはドライブスルー、テイクアウト、デリバリーなどでの食糧確保と、商店での買い物と通院だけ。買い物で外出できるのは一家族一人だけ。私はクリスチャンだけど、教会のミサも禁止。イスラム教徒の金曜礼拝もダメ。葬式だって大人数はダメ。  外出違反者には1000リンギ(約2万5000円)未満か禁固6か月以内という罰則がかけられるの。実際、道路では警察と軍が検問しているから、外出するなんて気は起きないけど」  実際、外出による逮捕者は毎日いるという。3月30日には742人が逮捕され、うち165人が起訴された。外国人にも容赦はない。3月27日には首都クアラルンプールで、警察の帰宅警告を無視してジョギングをしていた日本人4人を含む11人の外国人が逮捕されている。ただし、これらについては「コロナ対策を理由として、警察権力が市民の自由を強制的に奪うことが許されていいのか」という批判もある。

収入に応じた一時給付金と、低所得者への半年にわたる補償を開始

 パヤは公立小学校の教師だ。小学校、中学校、高校など大学入学前の教育機関もすべて5月12日まで閉鎖の予定となっている(これまでロックダウンの期限は、当初の3月31日から2週間ずつ延期され続けている)。教師たちは今、生徒たちのスマホに向けてオンライン授業を行い、宿題を出す毎日だ。  教師だけではない。同国では、必要最低限のインフラ関連(水光熱、金融、郵便、消防、薬局、放送、清掃や食品供給など)を除いたすべての政府機関と民間企業も閉鎖された。そこで気になるのは、国民への補償だ。完全とまでは言えずとも、マレーシアは「一時給付金」と「低所得者への半年にわたる補償」を始めた。  まず、一時給付金について。これは収入に応じて以下の支払いとなっている。 ●月収4000リンギ(約10万円)以下の世帯には1600リンギ(4万円)の支給。 ●月収4001~8000リンギの世帯には1000リンギ(2万5000円)の支給。 ●月収2000リンギ以下の独身者には800リンギ(2万円)の支給。 ●月収2001~4000リンギの独身者には500リンギ(1万2500円)の支給。    マレーシアの物価は日本のおよそ4分の1なので、なかなかバカにできない金額だ。政府がこの現金給付を開始したのは4月6日。パヤの夫は銀行員をしているが、その日「すごい数の人が窓口に申請に来た」と振り返る。これが「活動制限令」の発令からわずか3週間後にできたのだ。
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補助金支給のほか、必要最低限の食糧配布も
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