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新型コロナウイルスの感染拡大以降、世界的に外出禁止が強く求められ、その結果、ビデオ会議のソフトウェア市場が大きく伸張している。その中でも代名詞となっているのが
Zoom だ。
新型コロナウイルス蔓延以前は、たまに遠隔会議で利用していたが、今のようには流行っていなかった。それもそのはずで Zoom の1日の平均ユーザー数は、2019年12月に約1,000万人だったのが、2020年4月には約3億人に増加した(
Publickey)。実に30倍である。
これだけ急拡大すればトラブルが起きる。この1ヶ月以上、Zoom が原因によるトラブルや、セキュリティ的な問題がニュースを賑わせた。メディアでも大量に名前を見ることになっている Zoom だが、そもそもどういった会社なのか振り返りながら、ここ最近のビデオ会議の動きを見ていこう。
日本で働いていたこともある中国人青年が立ち上げたZoom
ビデオ会議ソフトの Zoom を提供しているのは、Zoom Video Communications という会社だ。設立は2011年。米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置いている(参照:
Zoom)。同社は2019年に Nasdaq に上場しており、2020年になって株価が大きく上昇した(参照:
Nasdaq)。現在、非常に勢いのある会社だと言える。
実は、この
Zoom Video Communications という会社は、その系譜も含めると歴史が深い。創業者の
Eric Yuan は、元々
WebEx という会社に1997年に参加している(参照:
Thrive Global)。WebEx は1995年設立の会社でビデオ会議システムを取り扱っており、2007年にシスコシステムズに買収されて Cisco Webex となっている(参照:
Gigaom)。
Zoom の創業者の
Eric Yuan 氏について触れよう。
中国の山東省で生まれた彼は、中国に住んでいた頃、
恋人に年に2回しか会えず、会うときには10時間電車に乗る必要があり、ビデオ会議システムを夢想していたという。Eric Yuan 氏は、
山東科技大学で応用数学とコンピューターサイエンスを学び、22歳で修士号を取得して、遠距離恋愛の恋人と結婚した(参照:
Forbes)。
彼は、
日本で働いていたことがあり、その時にビルゲイツ氏の1994年のスピーチを聞いて触発され、
シリコンバレーに移住した。アメリカのビザの申請は2年間も拒否され続け、9回目でようやくビザを取得できた。その時、Eric Yuan 氏は、英語を話せなかったという(参照:
Make It)。彼は1997年に 創業2年の WebEx に参加する。
Eric Yuan は2011年に、クラウドベースのスマートフォン向けのビデオ会議システムをシスコの経営陣に売り込んだが却下された。同年、彼は、Zoom Video Communications を立ち上げる(参照:
Business Insider)。その後の快進撃は、現状の通りだ。
Zoom は、急伸長してきたソフトウェアに見えるが、その
背景となる歴史は長い。Eric Yuan 氏を軸にすることで、
長い背景を持つプロダクトであることが分かる。