リモート会議で増える、「なあなあの合意なWeb会議」はどうすれば避けられるのか?

客観性を担保して発言を引き出す

 一方、方針説明者と進行役が別の人の場合は、方針説明者と進行役の関係性にもよるが、それだけで、進行役が客観的な立場に立っているという印象を与え、参加者の発言を引き出しやすく、合意形成の4質問が機能しやすい。  進行役が方針を熟知していなくても、進行役は質問を繰り出す人で、方針を主張したり、ある方向に無理やり誘導する人ではないので、弊害は少ない。むしろ方針の細部を知らないほうが、質問によるプロセスが機能しやすい。  働き方改革による残業抑制や有給取得の奨励により、生産性向上の取り組みが盛んにされるようになった。会議時間の短縮のために、一定時間内で合意形成する、4質問で進行する手法は有効だ。  加えて、在宅勤務が広まり常態化したリモート会議では特に、参加者の双方向のコミュニケーションを活性化するこの手法が合意形成に役立つのだ。

質問をとおして合意形成を

 質問:方針説明する人と進行役の関係  方針説明をする人と進行役との関係はどうなりますか? 方針説明する人が進行役をするのですか? 方針説明する人ではない、別の人が進行役をするのですか?  回答:同じでも異なってもできる方法  方針説明する人が進行役を務めても、方針説明する人ではない別の人が進行役を務めてもよい方法です。  進行役は、議題について熟知していなければならないと思い込んでいる人もいると思います。しかし、4質問による合意形成手法は、進行役が議題について熟知していなくても合意形成することが可能です。なぜなら、進行役が参加者に質問をして合意形成する方法だからです。  わからないことがあれば、参加者に聞いてしまえばよいのです。むしろ、わかったつもりになって、決めつけたり、押しつけたりするようになるリスクが小さいので、議題についてわかっていないほうが、合意形成しやすいこともあるほどです。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第187回】 <文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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