ひた隠しにされた「アベノマスク」発注先、ついに発覚。謎が深まるその発注先「ユースビオ」に行ってみた

謎のマスク発注先「ユースビオ」

謎のマスク発注先「ユースビオ」

欠陥品だらけだった「アベノマスク」の発注先

 流行中の新型コロナウイルスには、特に高齢者や持病のある人、そして、妊婦さんは気を付けなければなりません。例えば、試験的に投与されているアビガンは胎児に深刻な悪影響を与える可能性があるということで、妊婦さんには投与されないことになっています。もちろん、レムデシビルなど未承認な薬も安全性が確認されていないため、投与には慎重になるはずです。だから、妊婦さんには感染しないように気を付けてもらわないといけない。  そこで、安倍政権が用意したのは、なんと2枚の布製マスク「アベノマスク」です。なにしろ布でできているので、防護にはほとんど効果がなく、感染させないために着用するにしても効果が見込めない。強いて言うなら、直接的に鼻や口を触らないようになるくらいで、もしも家に市販されている普通のマスクがあるのなら、そっちをつけた方がよっぽどマシという代物。  そんな物を安倍政権は466億円もかけてお届けしてきたのですが、最近、その妊婦用のマスクにカビが生えているのが発覚したり、髪の毛が混入していたりと、とても衛生的とは言えない欠陥が次々と見つかり、「むしろ別の病気になる可能性があるわ!」ということでクレームが入りまくっていました。  きょうび、どこぞの雑貨屋さんで売られているような「おもちゃマスク」でさえ、ここまでのクソ品質ではないので、政府が肝入りで発注したマスクがこんな状態だと、当然、「どこの会社に発注したんですか?」ということになるわけでございます。

ひた隠しにされた4社中の1社

 社民党の福島みずほさんが質問した時、厚生労働省は4つの会社のうち、3つの会社は公表しましたが、1社だけは頑なに情報を出しませんでした。まず、公表した3つの会社とは、興和、伊藤忠商事、マツオカコーポレーション。あんまり詳しく知らない人のために、それぞれの会社について簡単にご紹介しましょう。 【興和株式会社】  私たちに馴染み深い商品としては「キャベジンコーワ」や「バンテリン」、虫刺されの「ウナコーワクール」などの薬をはじめ、コンビニや薬局で売られていた「三次元マスク」を製造販売している会社。実は、薬やマスクだけでなく、医療機器やファッション、望遠鏡や顕微鏡なども製造している専門商社。年商1728億円。 【伊藤忠商事株式会社】  日本を代表する総合商社の一つ。繊維、機械、金属、エネルギーや化学品、情報から金融まで、ありとあらゆるものを取り扱う大企業中の大企業。ファミリーマートの親会社であるといえば、どれだけ大きな会社なのかがわかるだろう。年商11兆6004億円。 【マツオカコーポレーション】  メンズ・レディースのフォーマルウェアからカジュアルウェア、スポーツウェア、ユニフォームウェアまでの縫製、洗い加工、生地開発と生産、貿易業務をしている。中国や東南アジアに製造拠点を展開。優良な工場で生産力を拡大。年商634億円。  伊藤忠商事はズバ抜けて大きいけれど、興和もマツオカコーポレーションもそれなりに大きな会社であり、いくら大変な時期とはいえ、これまでの実績から考えて、ゴミや髪の毛が混入していたり、ましてやマスクの布にカビが生えているというのは考えにくい会社です。それなりにノウハウと実績のある会社が、ここまでクオリティーの低い商品を出してくるなんて信じられません。ちゃんとした会社に頼んでいるのに、このクオリティーなんでしょうか。とにかく、残る1社を教えてもらわないことには検証もできません。  3社は公開したのに、1社だけ公開しないなんて怪しすぎる! ということで、社民党の福島みずほさんを中心に、野党の議員たちが「出せ!出せ!」と追及してきたのですが、とうとう新聞や雑誌の記者たちがゴールデンウィークのお休みに入ったタイミングで、4つ目の会社を渋々公開しました。ちなみに、菅義偉官房長官は会見でさらに一社(「横井定」)であると発表しています。  渋々発表された「4社目」の会社の名前は「株式会社ユースビオ」。いきなり誰も知らない超マイナーな会社が出てきたので、さっそく「どこだよ!」と捜索が始まったのですが、これがまた調べれば調べるほど怪しさ満点。どうやら福島県福島市に会社があるらしいのですが、代表取締役の名前も非公表で、さっぱり実態が掴めないのです。もう行ってみるしかなくない?
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話題騒然の謎会社「ユースビオ」に行ってみた!
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