「韓国のイメージが良くなった」と言われるのは嬉しい
―日本のアニメとともに、「真夏の夜の淫夢」についてもよくご存知のようです。「淫夢」について知ったきっかけはなんですか?
「淫夢」のことは、ツイッターで知りました。あの俳優さんはちょっと可哀想ですけど。韓国でもし、同じような事件が起きたらしばらくの間、活動は無理だと思います。
―その淫夢を通じて日本のフォロワーさんと交流をしている部分もあると思うのですが、日本のフォロワーから色々とコメントや反応をもらって、どんな気持ちですか?
めちゃ面白いです! 「セモ兄貴のおかげで韓国のイメージが良くなった」と言われるのも、めちゃくちゃ嬉しいですね! 日韓関係は良くないですが、その中にも希望はあると感じます。
―昨今の日韓関係は2018年を境に、過去最悪と言われるほど悪化しました。セモさんは政治に興味がないとおっしゃっていますが、やはり気にすることはあるのですか?
日韓関係が悪くなったのはとても残念で悲しいと思ってます。ただ、SNSで、日本人からどんなコメントが来るかについては、特に心配はしませんでした。中には「韓国人は狂っている」などと言われることもありましたが、ほとんどが優しいコメントばかりなので、あまり気にしていません。
―そうなんですね。セモさんが、日本のフォロワーから人気があるのは何故だと思いますか?
うーん、日本のことを愛するから……ですかね。若いのに日本語が上手だからでしょうか? なんだか、ナルシストみたいですね(笑)。
―日本のフォロワーたちと接して、韓国のネット民と違うと思った点はなんですか?
うーむ。言葉づかいが優しい点でしょうか。韓国はもっと怖い人が多いので。
―「セモさんのおかげで韓国のイメージが良くなった」というのは、逆に言うと、日本人も韓国に対して悪く思っていたということになります。何を悪く思っていたのか、気になりませんか?
竹島や旭日旗の問題があったからでしょうか。韓国でも、日本に対して悪く思う若い人は、残念ながら多いです。政治の話は難しいので、ここまでにしたいです。
光州事件みたいなのが起きなければ韓国社会は変わらない
―ところでセモさんの将来の夢はありますか? 日本語を生かした仕事をする気は?
いや、今のところ日本語は趣味でやってるだけです。父が電気工事の仕事をしていて、僕も同じ仕事に就きたいと思っています。
―韓国は今とても学歴社会ですよね。一流大学に入るために死ぬほど努力するが、就職も難しい。
そのとおりです。僕はそれとは別の生き方がしたいと思っています。韓国社会は多様性が足りないように思います。この雰囲気はすごく残念ですし、僕らの世代は社会への不満がたくさんあります。
―セモさんが成人したら、少しは韓国社会が変わると思いますか?
全然思いませんね。大きな革命が起こらなければ無理でしょう。光州事件のような、文字通りの革命です。
―それは物騒ですね……ちなみにですが、今、恋人はいますか?
いません。今までいたことがなかったし、これからもいない予定です。
―なぜ「予定」なのですか。
彼女なんかに興味がないです。
―淫夢が好きということでもないんですよね?
当たり前です! 女性は好きだが、彼女には興味がないという意味です。
―それでは最後に、日本のフォロワーに言いたいことがありましたらお願いします。
日韓友好を願っている日本の方々もたくさんいることを知れて良かったです!
日本語は韓国人にも学びやすい言語であり、韓国では年々、日本語学習者が増えている。2018年は約53万人(国際交流基金調べ)であり、世界各国の日本語教育機関数の伸び率も韓国がトップだった。セモ氏のような存在は今後増えていくのかもしれない。
<取材・文/安宿緑>
ライター、編集、翻訳者。米国心理学修士、韓国心理学会正会員。近著に「
韓国の若者」(中央公論新社)。
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