テレワークやZoom会議の罠、「上辺だけの合意」を回避するための4つの質問

有事だからこそ避けるべき落とし穴

 対面でもオンラインの会議でも、諦めのパターンにも受け身のパターンにも陥らず、見せかけの合意を回避するためには、進行役が「これがいい」「あれがいい」というように方針を押しつけないで、次の4つの質問で進行することだ。  「合意形成の4質問:内容」  洗い上げ質問:異論や懸念を洗い上げる質問  掘り下げ質問:異論や懸念の深刻度を掘り下げる質問  示唆質問:前提を置いて方向性を示唆する質問  まとめの質問:その方向性で合意できるかを問いまとめる質問  諦めのパターンにせよ、受け身のパターンにせよ、見せかけの合意が多発してしまっては、意思決定そのものができていないということになる。気づいたときには、予期せぬ方向にかじ取りがされてしまっていたということにならぬよう、緊急事態であればこそ、見せかけの合意を回避せねばならない。

たった4つの質問で合意形成を

 質問:4質問の表現  合意形成のための4質問ですが、具体的にはどのような表現で質問していけばよいのでしょうか?  回答:4質問のフレーズ  次のようなフレーズで、合意形成のための4質問を進行役が繰り出していきます。  「合意形成の4質問:フレーズ」    洗い上げ質問:  ・ただいまの方針説明で、気になることがあればどんどん出してください  ・反対意見も歓迎です。思いついてことを遠慮なく挙げてください  掘り下げ質問:  ・出していただいた異論や懸念の中で最も深刻なものはどれですか?  ・◯つの反対意見が挙がりましたが、どれから先に議論したいですか?  示唆質問:  ・最も深刻な問題は、人手が足りないということでしたが、もし◯◯チームにお願いして、人手の援助が得られれば賛成ですか?  ・業務多忙でスケジュールを確保できないということが最も深刻な問題ということですが、もしスケジュールを後ろ倒しできれば反対しませんか?  まとめの質問:  ・人手の援助を得る前提で、方針を実行することでよろしいでしょうか?  ・スケジュールを後ろ倒しするということで、みなさま賛成でしょうか? 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第186回】 <文/山口博>
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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