FX系YouTuberのJIN氏も、同じく為替でやられたクチ。
「当初、WHO(世界保健機関)が楽観的なアナウンスをしていたので、大暴落はないと安心しきっていたんです。それなのに、3月からは連日のように過去最悪の記録が更新されていく……。何度かロスカットするうちに思考は停止。含み損を見ると、謎の腹痛と頭痛、めまいにも襲われるようになり、食欲を失い、2週間で体重は5㎏も減ってしまいました。最後はどうでもよくなってすべて損切り。
米株だけで3000万円の損失を出し、今も3000万円ほどの含み損を抱えています」
一つ桁の大きなマイナスを抱えて顔面蒼白となったのは、元芸人で億り人の株式投資家・井村俊哉氏。
「1~2月は好調で、年始に2.7億円だった資産が4.2億円にまで増えたんです。控えめに『資産3億超えちゃったんだよね~』などと妻にドヤっていたら、直後から暴落が始まって、
1週間で資産は1億円減少。その2週間後にはさらに1億減って、『このままだと3週間後にはゼロか!?』と心臓を素手で握られるような感覚を覚えました。それをツイッターで報告したら、芸人時代の同期で”借金芸人”の岡野陽一から突然、連絡がきたんですよ。『毎月1円以上返済する』という条件で僕は彼に130万円貸しているのですが、1か月目に1円、2か月目に100円、3か月目に1000円返済して以降、音信不通に……。それから半年ぶりに連絡が来たら『投資の損失を気にかけて、返済のために連絡してくれたのかな?』と思うじゃないですか。ところがアイツは『
1億円失うって、どんな気持ちなんですか? そんな大金持ったことないんで、どうしてもその気持ちが知りたいんです!』と、私の傷口をえぐり続けた……。で、結局お金も返してくれないのでタチが悪い」
このように投資家たちの爆損報告をお届けしたが、意気消沈して終らないのがホンモノの投資家。実際、井村氏はその後再び、4億円間近まで資産を回復している。成長株に集中投資するのが氏のスタイルだが、「暴落時に、新型コロナ禍でも需要が伸び、“アフターコロナ”でも成長が期待できるクラウドサービス系にポートフォリオに組み替えたことが奏功した」という。サトウカズオ氏も「リーマンショック時の300万円強制ロスカット、’18年トルコリラショック時の1600万円の損切りと比べたら、精神的なショックは小さい」と話す。実際、欧米での新型コロナ終息の期待からリスクオン相場に転換しつつあり、含み損は着実に減っているという。新型コロナはいまだ猛威を振るっているが……いち早く立ち直ったのは鋼のメンタルを持つ爆損投資家たちかもしれない!?
投資家から頻繁に耳したのが、「パンデミックを否定してたのに」というWHOに対する恨み節。株式投資家からは「日銀の年間12兆円のETF買いは、下げたら買いたいという個人の投資機会を奪い、ETF組み入れ銘柄を保有する機関投資家にしか利のない愚策」という声も。なりふり構わぬ各国中央銀行の施策は今後どう影響するか注目だ。
●プロフィール
Jack氏(
@jackjack2010)
IPO、PO銘柄投資のほか、優待・配当取り投資など、さまざまな投資法を実践する著名投資家。資産は2億円超。今回のコロナ相場では利回り低下リスクのないインフラファンドを購入。『株カンニング投資術』(ダイヤモンド)など著書多数
高城泰氏(
@takagifx)
金融ライター。FX、株、暗号通貨に関する記事を多数執筆。日本で最も多くのトレーダー、投資家を取材している人物。著書に『FXらくらくトレード新入門』(角川書店)、『ヤバイお金』(扶桑社)など。相場・業界のデータを独自の分析を加えてツイッター等で配信中
サトウカズオ氏(
@tryjpyFX)
昨年から専業トレーダーに転身し、6800万円の資産を運用中。リーマンショックでは300万円の強制ロスカット、’18年のトルコショックでは1600万円の損切り、今回のコロナ相場では500万円の損切りを経験したものの、生涯のトレード成績はプラスを維持。ブログ
「トルコリラとメキシコペソのFXブログ」でも情報発信中
JIN氏(
@oreteki_douga)
まとめサイト「オレ的ゲーム速報@刃」管理人にして、億の資産を運用するトレーダー。YouTubeチャンネル
「オレ的ゲーム速報JIN FX投資部」で相場動向や自身のトレード成績などを配信中。ただし、「トレードで勝ったときよりも、大損しているときのほうが視聴者は増える」とか……
井村俊哉氏(
@imuvill)
元芸人投資家にして、投資・ビジネス系YouTuberプロダクション「
Zeppy」CEO。
「Zeppy投資ちゃんねる」などで投資情報を発信中。今年は2月に資産4億超えを達成した者の、コロナ相場で2億円のドローダウンを経験。その後、ポートフォリオの見直しで再び4億超え間近まで回復
<取材・文/週刊SPA!編集部>