新型コロナ、最速で進むワクチン開発だが、できるまで少なくとも1年~1年半。それまでは元の生活には戻れない

パンデミックはいつ収束するのか

急ピッチで進むワクチンの開発 新型コロナウイルスの流行のため、米国民の生活は急変しています。米疾病予防管理センター(CDC)によれば、3月9日の時点で、42万7460人の米国人が新型コロナウイルスと診断され、そのうち1万4696人が死亡しました。  3月31日のホワイトハウスの記者会見では、新型コロナウイルスの感染で10万~24万人もの米国民が死亡する可能性という発表がありました。多くの米国人は、自分自身や家族、友人などの感染の経験を通じて、止まることのない感染の広がりに恐怖感を抱いています。同時に米国経済は悪化し、3月の雇用は70万1000人減。4月になっても状況が改善する兆しはありません。これ以上、米社会は何をどれだけ失うのでしょうか?  そんな中、米国では社会的な隔離政策の効果が見え始めています。ワシントン大学のモデル解析によると、社会的な隔離政策を早く始めた州ほど、感染の広がりが早く抑えられます。  例えば、カリフォルニア州の感染のピークは4月13日、ワシントン州は4月2日と予想(4月9日現在)されています。ただし、社会的な隔離政策を緩和すると、感染が再燃するリスクがあります。そこで、CDCは国民に、社会的な隔離政策が、新しい感染者の発生を抑えるために依然として重要であることを警告しています。  それでは、米国では、いつまでこの状況は続くのでしょうか?

ワクチンなしでは元の生活には戻れない

 3月6日のホワイトハウスの記者会見で、米メデイアABCニュースの記者、ジョン・カール氏は、「誰もが利用できるワクチンがでる前に、この国は本当に通常に戻りますか? ワクチンなしでどうやって制限を解除し始めるのですか?」と尋ねました。米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のアンソニー・ファウチ所長は「米国は、特にワクチンなしでは、新型コロナウイルスが流行する前の状況には戻れません」「治療薬が登場し、しばらくして良いワクチンが手に入り、今の状態に戻る必要がなくなることを確信しています」と述べました。  現在の時点で臨床試験を終えて、米食品医薬品局(FDA)の承認を受けた治療薬、ワクチンはありません。通常ワクチン研究には何年もかかります。現在、記録的な速さでワクチンの開発が進んでいますが、それでもファウチ所長は、ワクチンの開発には「少なくとも」1年~1年半かかると予測しています。「少なくとも」というのは、開発のプロセスで、副作用、投与の問題、また製造上の問題などにより遅れを引き起こす可能性があるためです。

3つのワクチンの臨床試験が開始

 米国と中国を中心に、世界中でワクチンの開発が進んでいます。WHOによると、44のワクチンの候補が開発中ですが、そのうちの3つは、すでにヒトでの臨床試験が始まっています。その3つ―モデルナ社、カンシノ・バイオロジクス社、イノビオ社―の開発について、以下で紹介していきます。
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最前線を走るモデルナ社
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