事前通告なく一斉解雇。ハウステンボスから派遣切りに遭った当事者を直撃

非正規労働者の解雇が深刻化するのはこれから

仲野智氏

「全国労働組合総連合」の仲野智氏

 問題は、ハウステンボスにとどまらない。各地の労働組合には、新型コロナウイルスによる労働問題が多数報告されているという。 「全国労働組合総連合」の仲野智氏は、「もともと年度末のこの時期は労働問題が多いのですが、今年3月は昨年の2倍の相談件数があり、コロナ関連の相談件数が約半数を占めています」と語る。  深刻な事態を受け、全労連では3月16~19日、追加の電話相談を実施。そこで寄せられた訴えには「休業補償を払ってもらえない」というものが多かったという。しかも今後、新型コロナに関連した労働問題はさらに増える見込みだという。 「リーマンショック時のタイムラグから考えても、非正規労働者の解雇が深刻化するのはこれからで、ゴールデンウィークあたりにピークを迎えるのではないでしょうか。5~6月の株主総会に備えてリストラを断行する企業も出てきますし、正規労働者も安泰とは言えなくなるでしょう」(仲野氏)  AさんやBさんのように、突然解雇された人々はどうしたらよいのか。仲野氏は「ぜひお近くの労働組合にご相談してください」と言う。「全労連傘下の地方労組は、非正規労働者の皆さんも加入できます。組合員になっていただければ、労組が企業と交渉します」(仲野氏)。  リーマンショック超えは確実とされる、新型コロナウイルス感染拡大による経済危機。休業や業績悪化に苦しむ企業の救済もまた不可欠ではあるが、その大前提として、そこで働く人々の権利がまず守られなくてはならない。 <取材・文/志葉玲>
戦争と平和、環境、人権etcをテーマに活動するフリージャーナリスト。著書に『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、共著に『原発依存国家』(扶桑社)、 監修書に『自衛隊イラク日報』(柏書房)など。
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