「自分でやってみる」から生まれた国会パブリックビューイング
一変した世界の中、新たな歩みを始めるということ
一方、真壁さんは国会パブリックビューイングの中で映像の制作と上映を担っているのだが、彼が路上の行動の撮影を始めたのは、2015年9月に安保法制が可決成立した、そのあとの国会前での抗議行動でのことだった。 ままならない現実のなかで、自分ができることを考えて自分から動き出したのがその2015年当時の真壁さんであり、そしてその真壁さんらの尽力によって2018年6月11日の私のアイデアを4日後の6月15 日に新橋SL広場で実現したのが国会パブリックビューイングの始まりだった。 それぞれの問題意識をもとに一人ひとりが自分から動き出したその先に、国会パブリックビューイングという合流地点があった――そういう経緯を書き残しておくことが、一変した状況の中で新たな歩みを始めなければならない今、なにがしかの意味を持つことを願う。街頭上映会とか、できないですかね。
— 上西充子 (@mu0283) June 11, 2018
働き方改革をめぐる国会審議のこの状況を見てください、と。
問題場面をハイライトで編集して。
野党の皆さん、労働団体の皆さん、どうですか?
国会審議の液状化、一般市民に可視化が必要です。 https://t.co/VyupW3Ta4O
国会PVの映像制作・上映担当、口数の少ない真壁さん
以下ではトークライブに登場した4名のうち、国会パブリックビューイングの事務局長である真壁隆さんに焦点をあてる。 横川圭希さんについては『国会をみよう』に「他人が書いた自分の日記を読んでいるみたい」(横川さん談)というほど頻繁に登場しており、伊藤圭一さんも同書と前著『呪いの言葉の解きかた』(晶文社、2019年)に登場しているが、真壁さんについては、その行動を『国会をみよう』に紹介したものの、どういう思いで国会パブリックビューイングの活動に参加しているのかについては、「なりゆきですかね」という一言しか収録することができなかった。 それは真壁さんが普段、口数の少ない人で、私もそれ以上、深く尋ねることはしなかったからなのだが、今回のライブトークでは真壁さんが多くのことを語ったので、その「なりゆき」が、他律的に状況に引き込まれていったというものではなく、主体的に関係性に踏み込んでいったものであることが理解できた。 真壁さんは現在の国会パブリックビューイングにおいて、映像制作と上映をほぼ一手に引き受けている。2018年に制作した解説つき番組「第1話 働き方改革―高プロ危険編-」と「第2話 働き方改革―ご飯論法編―」は横川さんが手がけたものだが、2018年秋以降に国会パブリックビューイングが街頭で上映してきた入管法改正(外国人労働者受け入れ拡大)、統計不正、民間英語検定試験、桜を見る会などの国会審議映像は、真壁さんが切り出して字幕を付けたものだ。 切り出す国会審議の場面を私が指定し、パワーポイントでスライドを作成する。真壁さんは、切り出した映像に字幕をつけてパワーポイントに貼り付け、街頭で上映してYouTubeでライブ配信し、その上映を撮影・録音し、より見やすく編集したものを改めて国会パブリックビューイングのYouTubeチャンネルで配信する。そういう根気のいる作業を、こつこつと積み重ねてきたのが真壁さんだ。 3月25日の出版記念ライブトークも真壁さんがセッティングし、みずからもトークに加わりながら画面の切り替えや合成、マイクの音量調整などを担当していた。 下記の写真でモニタの左半分に映っているのは、前方に設置されたビデオカメラがとらえたトークの場面。右半分が配信映像で、この場合は写真を示したスライドの右上に、そのトークの様子が組み込まれている。3月25日実施「国会をみよう 国会パブリックビューイングの試み 出版記念ライブトーク 上西充子(国会PV代表)・伊藤圭一(ゲスト解説)・横川圭希(映像制作・上映担当)・真壁隆(映像制作・上映担当)」の高画質版を公開しました。
— 国会パブリックビューイング (@kokkaiPV) March 30, 2020
ライブ時より画像を追加し編集しました。https://t.co/yMvLhOM2uz
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