——先ほどおっしゃった「不安」や、「見える・見えない」ということにも繋がってきますね。
浅野:「
エラーでストップしてしまうと、動けない組織になってしまい、衰退してくしかなくなります。会社全体でも、従業員個々でも、『やって結果がありませんでした』に対してみんなが怖がるようになる。
新しいことができなくなってくる。それが2年とか続いて、エラーは一切なくしてくださいとなったら、会社が保ちません。会社はそういう空気でやっていると
負け癖がついていきます。どこでまたトライ&エラーができるようになるかは、よくよく判断しないと」
——スポーツチームでも、不調のときはミスを減らそうとするあまり、チャレンジできなくなることが多々あります。
浅野:「そうですね。消極的になり、投資もできなくなると、いい選手も獲得できないし、日々の練習にも力が入らない。そうして
連敗街道が続いてしまいます。アクションを起こした先にモチベーションがついてきます。
足元でのビジネス的な数字のインパクトより、今後に向けてどういう流れを作れるかが大事になってくると思います」
——自社内での対策や取り組み以外で、行政などに求めることはありますか?
浅野:「企業としては、
補助金よりもビジネスチャンスがほしいです。補助金は一過性のものにすぎません。怪我をしたとき、傷口に薬を塗るような効果ですね。それよりも、自己治癒能力を高められるような施策に期待したいです。
魚を持ってくるよりも、釣り場を用意してほしいです」
——具体的には、どういった施策が挙げられますか?
浅野:「我々の業界で言えば、今は
医療関係のニーズが高まっているので、それら機器のサプライヤーや製造をしてほしいという要望を、行政でまとめてほしいです。人工呼吸器の図面をもらうには、ここにコンタクトとれ、とか、
医療機関からのブレイクダウンを行政主導でほしいです」(*この取材後に、彼ら自身でポーランド政府へコンタクトを取り、人工呼吸器の製造を検討中とのこと)
——すでに他国では、大手自動車メーカーが医療機器の生産にシフトした事例も出ていますね。
浅野:「そういった流れを大手のティア1メーカーから、我々のようなティア3まで繋げてほしいです。
今コロナで特にキツいのは、下請けや中小企業。ティア1、2と大きな差があって、
コストカットすれば当然ティア3がダメージを受けて、吹き飛んでしまいます。政府としてもマクロとミクロ、両方を見てほしいです」