バルセロナのZARAももちろん閉店中だ(photo by shutterstock)
政府が補償してレイオフに踏み切る企業が増えるスペイン
スペインでフランコ将軍が亡くなったのが1975年11月のこと。40年続いた独裁政治が終わって、その翌年からスペインの民主化への歩みが始まった。正にこの新しいスペインが誕生するのに歩調を合わせるかのように現在世界アパレル業界ナンバーワンのZARAが誕生した。そして今、コロナウイルスが猛威を振るう中にあって、ZARAの創業者アマンシオ・オルテガ(83)がスペインの救世主になろうとは当時誰も想像しなかった。
コロナウイルス感染拡大の影響でスペインは封鎖状態にあり、市民の外出は禁止さっれ、大半の企業も稼働が大幅にダウンしている。それに合わせて大半の企業が社員の一時雇用調整をおこなっている。これを単刀直入に言えば、
レイオフ=一時的に社員を解雇したのである。そして
景気が持ち直した時点で企業は再雇用するという義務を負わされている。その代わり、
政府が給与の7割を負担するという協約である。
その中にあって、スペイン国内で5000人の社員を雇用しているZARAを傘下に収めたインディテックス(Inditex)は一時雇用調整をしていない。4月15日まで様子を見ることにしたという。それ以後も封鎖が継続され、現状の市場に回復が見られない場合だけ2500人を対象に一時雇用調整するという方針を打ち出した。
現在スペインにあるインディテックスの1600店はすべて閉店となっている。よって、2500人の社員は仕事していない状態だ。それでもインディテックスは社員の給与を保障したのである。
一時雇用調整を適用した場合は失業となり、スペイン政府が給与の7割を支給することになっているが、インディテックスはその場合でも残り3割は自社が負担して、社員に支給されていた給与と同額を受け取ることを保障した。(参照:「
Newtral」)
この様に社員を大事にする企業はスペインではあまり存在しないように筆者は思う。