コロナの影響で各大学が卒業式を中止…現役学生は就活に不安も
3月14日に行われた記者会見で、安倍首相は学校の卒業式について「是非、実施してほしい」と言及し、波紋を呼んだ。2月29日の会見でも同様の発言をしていたが、その頃にはすでに多くの学校で卒業式の中止が決定していた。しかし、各大学の対応は一様ではなかったと言える。
今回の事態に学校側は式典や授業の開始日など様々な判断が求められ、現在もその対応に追われている状況だ。また、そこに通う大学生もそれぞれの形で影響を受けている。
2月20日に、立命館アジア太平洋大学、第一薬科大学、神戸医療福祉大学の3校が卒業式の中止を発表した。それを皮切りに2月末になると早稲田、慶応義塾などの有名大学を含め各大学で、卒業式の中止の発表が相次いだ。
これに伴い、袴を貸し出す着物レンタル業者も大きな損害が出ている。さらに卒業式に伴う謝恩会やパーティーなどもキャンセルになっている。既に参加費を払っていた学生は全額返還されることも少なく、会場になっていた施設にも損害が出た。卒業式の中止は学生らだけでなく、企業にも経済的損害が発生する問題でもある。また、ほとんどの大学が入学式や新歓、授業開始日に関しても、延期あるいは中止を決定している。
一方で、大学によっては様々な措置をとった上で卒業式を行うところもある。卒業式は開催するが、保護者の参加は認めないという大学、また家族の参加を制限する大学も出ている。
また、東京大学は成績優秀者のみで執り行う。今回の対応について卒業予定のBさんは「角帽が被れなくて残念だ」と落胆した様子だ。そのほか、広島大学ではYoutube上で、卒業式の様子を中継し学生が視聴するという。
とはいえ、「卒業式は中止」としていても、一定数の大学では学位記の受け取りなどで、卒業生たちは大学に足を運んだ。多くの場合、卒業生は袴を着て学位記を持ち、同級生と写真を撮って別れを惜しんだ。その模様は卒業式さながらであり、大学を卒業する感慨は式典の有無に左右されるわけではないのかもしれない。
立て続けて全国的に卒業式が中止もしくは変更になる中、それと同時に大半の大学では 課外活動の自粛を喚起している。この注意を受けて卒業公演などの行事が次々と中止になった。こうした行事は、卒業生にとって有終の美を飾る機会となるために、残念に思う学生も多い。公演が中止になったある演劇サークルのメンバーらは、「集大成だったのに」と肩を落とした。また、卒業生が落胆したことは行事の中止に関してだけではない。渡航規制がかかったために、海外旅行の予定を立てていた学生は、卒業旅行を中止せざるを得ない状況となった。最後の旅行のためにと懸命に貯金をしていた人達にとっては、やるせない出来事だ。
各大学で判断が分かれる卒業式の開催
課外活動の自粛も要請
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