これが「ロックダウン」のリアル。記者が欧州で体験した想像以上にしんどい自宅軟禁生活、必要なのは「勇気を持って何もしない」

国境付近では大渋滞も

 ようやく振り替えた日本へのフライトが近づいてきたころ、ポーランドでは国境閉鎖の延長がアナウンスされた。また、国境付近では検査の強化によって物流や移動する人々による大渋滞が発生しているという。さらには、携帯電話の画面に表示されるキャリアの横には「#自宅で過ごそう」という表示まで出てくるようになった。  また、これまで許されていた日用品の買い物も、複数人で行くことは禁止され、一家に一人しか出ることができなくなってしまった。  本稿で書いた変化はわずか1か月間に起きた出来事だ。今後いったいどうなるかは神のみぞ知るところだろう。  今後は日本も同じ状況になりかねないが、ひとつ知ってほしいのは、こちらではパニックや暴動は起きていない。一時的にトイレットペーパーの買い占めなどは発生したが、すでに笑い話になっており、店頭には生活するのに必要なものが並んでいる。経済的に困窮することはさておき、物がなくなって生活できなくなるということはないので、パニックバイなどは絶対に避けるべきだ。

勇気を持って何もしない

 また、これから始まる外出自粛でストレスや不安を感じるかもしれないが、事態を収束するためには避けられない決断だということは理解しておいたほうがいい(というか、それが唯一のモチベーションだ)。決まった期間で終了する保証もないので、その点も覚悟が必要だろう。  幸い、今の時代は配信サービスなどの娯楽から、コミュニケーション手段も充実している。ヨーロッパでは家族や友人間のテレビ電話で、互いの近況を確認し、励まし合うことが新たな日常となっている。  普段、「民度の高さ」を誇っている日本が、パニックバイや不要な外出で溢れることはない……はずだが、あらためて「勇気を持って何もしない」ことを念押ししておきたい。 <取材・文/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン
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