新型コロナ対策で「今」行うべき政策が、少なくとも「消費減税」ではないこれだけの理由

もし消費を喚起したいなら?

 今消費が落ち込んでいるのは、政府が主導して抑制しているからだ。もし今のまま消費をもっと増やしたいなら、二つの道がある。  1つ目は、人が外出しなくてもすむ消費を増やすこと。例えば、通販・Eコマースなどの形態で販売したものや、テイクアウト、デリバリーにつき数%の還元を行う。まあ、前述したとおりUberとAmazonは喜びそうな施策だ。  もう一つは、消費の抑制を諦め、ウィルスの拡大終結を宣言することだ。オリンピックも開催すればいい。海外からどういう目で見られるかは知らないが、オリンピックがやれるくらい安全なら、出歩いても大丈夫だな、と賢明なる日本国民は思うだろう。  ウイルスの拡大リスクと経済の冷え込みを天秤にかけ、もう問題ないと思うのであれば、堂々と自粛をとき、消費を呼びかければいいのだ。  別にこれは皮肉で言っているわけではない。日本は一定程度抑え込めているという見方もあるわけだから、(現状を楽観的に考えれば)自粛をやめることは選択肢に入るだろう。

「消費税減税」は終結した後の話

 コロナウイルスのリスクに対する今のままの方針を継続するなら、政府がしっかり終結宣言できるまで、消費が抑制されることは許容するしかない。  コロナウィルスとの戦いを終結させるための対策を行い、その政府の対策により失われた所得を補填し、倒産と失業を最大限にケアする。  終結が見え、日本人全員が大手を振って経済活動ができるようになったなら、減税だろうが何だろうが検討すればいい。  今にもまさに廃業しそうな事業者、フリーランスは多数いる。少なくとも今、政治的なリソースを消費減税に費やすのは、あまりに現場の危機、今にも廃業、失業しそうな方々への視点が皆無なのではないか。 「そもそも消費税は何の意味もなく、逆進性が高く貧困層にデメリットが有り、景気を冷え込ませるあらゆる税の中で存在価値が皆無の税金で、無くすチャンスが有ればどんなときでも無くすべきである」と考える人に取れば、コロナウイルスをきっかけにして消費減税を訴えることは至極合理的なのかもしれないが、少なくともコロナ対策という文脈で今この問題を語るのはあまりに粗雑と言えるのではないだろうか。 <文/平河エリ@読む国会>
Twitter ID:@yomu_kokkai ひらかわえり●国会をわかりやすく解説するメディア「読む国会」を運営する政治ブロガー。
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