プログラマーには人生に関わる問題!? 「プログラミング言語人気ランキング」の世界

その他のランキング

 プログラミング言語のランキングを公開しているのは、TIOBE だけではない。様々なサイトで、人気ランキングが公開されているので見ていこう。  まずは、GitHub だ。GitHub は、ソースコードをホスティングするサイトで、ソフトウェア開発のプラットフォームでもある。最近、Microsoft が買収したことで、開発者以外の人のあいだでも注目を集めた。  GitHubの年次レポート The State of the Octoverse を見てみよう。  Octoverse という言葉は見慣れないものだが、おそらく同社のキャラクターである Octocat から取ったものだと思われる。ちなみに、Octocat は、種族の名前だそうだ(ねとらぼ)。 【Top languages】 1位 JavaScript 2位 Python 3位 Java 4位 PHP 5位 C# 6位 C++ 7位 TypeScript 8位 Shell 9位 C 10位 Ruby  次に、Stack Overflow の情報を見てみよう。Stack Overflow は、コンピュータや情報技術のQ&Aサイトだ。プログラムを書いていて、分からないことがあり検索すると、高率でこのサイトにたどり着く。  同サイトのStack Overflow Developer Survey 2019 に、プログラミング言語についての調査結果が記載されている。 【Most Popular Technologies】 1位 JavaScript 2位 HTML/CSS 3位 SQL 4位 Python 5位 Java 6位 Bash/Shell/PowerShell 7位 C# 8位 PHP 9位 C++ 10位 TypeScript  こちらは、プログラミング言語だけではなく、その他のものも含まれているため、GitHub とは少し違う。それらの項目を除くと、GitHub とよく似ている。両者ともに、実感にかなり近い。  IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers、米国電気電子学会)も The Top Programming Languages 2019 を発表している。こちらも見てみよう。 【The Top Programming Languages 2019】 1位 Python 2位 Java 3位 C 4位 C++ 5位 R 6位 JavaScript 7位 C# 8位 Matlab 9位 Swift 10位 Go  RedMonk も見てみよう。こちらは、アメリカの業界アナリスト企業だ。The RedMonk Programming Language Rankings: January 2020の結果は、以下のようになっている(9位は同率になっている)。 【The RedMonk Programming Language Rankings】 1位 JavaScript 2位 Python 3位 Java 4位 PHP 5位 C# 6位 C++ 7位 Ruby 8位 CSS 9位 TypeScript 9位 C

人気プログラミング言語の解説

 これら各種の結果から分かることは、Java、Python、JavaScript、C、C++、C# が特に強いということだ。  Java は汎用的に使われる言語で、多くの場所で動く。サーバーからモバイルまで動作して、デスクトップアプリケーションも作成できる。開発者の数も多い。堅牢なプログラムを書くことができて、多くのリソースを活用できる。  Python は、近年 AI 需要で特に伸びている言語だ。初学者にも学びやすい平易な言語で、教育および学術分野で元々広く利用されていた。まだまだ伸びている言語なので、利用者は今後も増えるだろう。  JavaScript は、Webページ上で動作する言語だ。全てのアプリケーションが、Webに乗る勢いになっている昨今では、まだまだ需要が増えることが予測できる。最近は、node.js というサーバー向け実行環境や、Electron といった、デスクトップアプリケーション開発環境も整備されて、利用範囲が拡大している。  JavaJavaScript は、名前は似ているが、中身はまるで違う別の言語だ。プログラムを書く人の中にも、この違いを知らずに混同している人がたまにいるので、間違えないように注意した方がよい。  C C++ は、限られたマシン性能で、高速に動作するプログラムを書く際に採用されやすい。組み込み分野やゲーム開発など、低リソースで高速に動作させたい時は重宝される。私も最近、C++ で Nintendo Switch 向けのゲームを作った。  C#は、近年様々な分野で利用されている、比較的新しいプログラミング言語だ。ゲーム開発プラットフォームである Unity でも C# が採用されている。今後出てくる新しい分野では、Java ではなく、C# が利用されることが多そうだなという実感がある。  最後に、各言語の登場時期をまとめておく。だいたい10年ずつぐらいの世代差がある。 1972年 C 1983年 C++ 1991年 Python 1995年 Java、JavaScript 2002年 C#  今人気の言語は、20~30年前に登場したものが多い。多くの開発者が育ち、開発に便利な多様な資産が蓄積されるまでには、10年ぐらいは掛かる。新しいプログラミング言語も、各種登場しているが、急激には入れ替わらないだろうと予測できる。  プログラミング言語の選択は、就職と年収に直結しやすい。そのため、いつの時代もプログラマーの関心の対象だ。たまにはこうしたランキングを見て、自分の持っているスキルの市場価値を見直して、次の一手を決めたいところである。 <文/柳井政和>
やない まさかず。クロノス・クラウン合同会社の代表社員。ゲームやアプリの開発、プログラミング系技術書や記事、マンガの執筆をおこなう。2001年オンラインソフト大賞に入賞した『めもりーくりーなー』は、累計500万ダウンロード以上。2016年、第23回松本清張賞応募作『バックドア』が最終候補となり、改題した『裏切りのプログラム ハッカー探偵 鹿敷堂桂馬』にて文藝春秋から小説家デビュー。近著は新潮社『レトロゲームファクトリー』。2019年12月に Nintendo Switch で、個人で開発した『Little Bit War(リトルビットウォー)』を出した。2021年2月には、SBクリエイティブから『JavaScript[完全]入門』、4月にはエムディエヌコーポレーションから『プロフェッショナルWebプログラミング JavaScript』が出版された。
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