東京五輪開催への意気込みばかりが伝えられるなか、コロナウイルス感染阻止への具体的な対策はいまいち伝わってこない。「
BLOOMBERG」はこうした政府の姿勢を各国と比較しながら、次のように報道している。(参照:
BLOOMBERG)
“一方、日本は検査数の不足で批判を呼んでいる。これは隔離されずにウイルスをより広範囲に広げている、未検出の感染者数の予測を上げることにつながっている”
検査数を抑えることで
上部の数字を取り繕っても、国際的にはかえって実際に感染している人数の予測が上昇しているというわけだ。
各国とも国境閉鎖など歴史上類を見ない厳格な対策を講じているコロナウイルス。これまで
数字をアンダーコントロールしながら好景気などを演出してきた安倍政権だが、今回ばかりはそうしたパフォーマンスも通用しないだろう。
政府の対応や東京五輪に関しては、
在日外国人からも悲観的な声が聞こえるが、母国との温度差に戸惑ってしまうのも無理はない。都内で飲食店を営むアメリカ人の男性は次のように語る。
「
ウイルスはポジティブ・シンキングじゃ防げない。特に日本は高齢者と喫煙者が多いから危険だと思う。どこのお店も通常通り営業していますが……。私も従業員の生活もあるので難しいですが、
短期間の休業や時短営業など何かしらの対策を講じないといけないように感じています」
また、母国へ戻れなくなるのではと危惧する人も。フィンランド人女性は世界中で広がる渡航制限についてこう話す。
「毎夏、1か月ほど帰国していますが、
今年はそもそも帰れるのか不安です。もっとしっかり検査をしてほしいですが、周りの友人はみんな
諦めムードで、結局いつもと同じような生活をしている。報道で見る海外の様子とまるで違うので、自分だけ考え方がおかしいのかと錯覚してしまいます」
「オ・モ・テ・ナ・シ」を謳って招致した東京五輪。感染者数を把握しないまま、やってくるアスリートや観客に安全を約束することは無責任このうえない。万全を期したうえで「たいしたおもてなしはできませんが……」と謙虚に迎える姿こそが日本的だと感じるのは筆者だけだろうか?
<取材・文・訳/林 泰人>
ライター・編集者。日本人の父、ポーランド人の母を持つ。日本語、英語、ポーランド語のトライリンガルで西武ライオンズファン