「独立運動はできなくとも不買運動はする」と書かれた垂れ幕。コンビニエンスストアからも、日本製のビールが消えたという
韓国映画『パラサイト/半地下の家族』がアジア映画として史上初のアカデミー賞4部門を受賞し、韓国の存在が一躍、世界に轟いた。同映画は韓国社会の深刻な貧困問題を描き、観る者に衝撃を与えたが、そこでも描き切れないほどに実際の韓国社会は閉塞的な状況がある。
関係悪化で日本向け旅行が9割減。「大手以外はすべて倒産するかも」
日韓の政治的衝突が、特に’18年から’19年にかけて「過去最悪」と呼ばれるまでに激化した。レーダー照射に始まり徴用工問題を経て貿易戦争、GSOMIAは破棄寸前にまで発展。その直撃を受けているのが、韓国の旅行業界だ。大きな需要を占めていた中国と日本向け旅行だが、業界大手ハナツアーの’19年の日本への旅行は昨年同月比90.3%減少。今年2月も中国行きとともに業界全体で前年比95%減となった。日本旅行添乗員歴18年のユン・ソンピョさん(仮名・40歳)は嘆く。
「昨年8月を境に申し込みがパタリとやみ、日本関連は閑古鳥が鳴く状態。東京五輪効果で少しは回復が期待されていましたが、新型コロナでその望みも遠ざかった。4月には大手2社以外すべて倒産するのでは?といわれています」
ユンさんもここ半年間休業状態で、時々日雇いのバイトをして糊口をしのいでいる。
「僕は独身だからまだマシですが、家庭を持つ人は建築現場の作業員や、海外への出稼ぎをして食いつないでいます」
「多言語ができてキャリアのあるガイドが、キムチ工場で日雇いをするのを見るのがツラい。自分もいつそうなるかわからない」とユンさん
過去、日韓関係がいかにこじれても、これほどではなかったという。ユンさんの長年の観測では「反日感情がある人は3割未満」だが、同調圧力の強い韓国ではそうもいかない事情がある。申し込みが激減したのは、団体旅行だが……。
「個人旅行より、団体旅行のほうが売国奴扱いされやすい。参加者がお互い詮索し合って、韓国に帰国したらそれを第三者に漏らして噂が拡散されるからです」
大手ツアー会社が1月に日本旅行のネット受け付けを再開したところ、炎上したという……。