スペインの3代紙のひとつ『
ABC』は3月13日付にて高橋氏の発言をもとに、見出しに「
東京はオリンピックを延期することが『現実に』見えるようになった」と題し、同氏が「もし開催できないとなると、最も現実的なのは競技を1-2年延期することだ」と述べたことを報じた。
同氏の記事になっているスペイン語での発言内容は高橋氏が実際に発言した内容とは些か異なってはいるが、同紙が読者に伝えたかったのは日本のオリンピック関係者の中にも唯一現実に物事が見えるような人物が登場したということを伝える為であろう。また同紙は橋本聖子オリンピック・パラオリンピック担当大臣のオリンピックの延期も中止もないという発言も記載している。
またトランプ米大統領が競技場が観客で埋まらない開催になることを危惧して延期するように指摘していることも同記事の中に加えている。
このトランプ氏の発言は仮に予定通りオリンピックを開催するのであれば米国は選手団を送れないということを仄めかしたものであると筆者は感じている。実際、選手団を派遣するようになれば、11月の大統領戦で彼の票が減ることを彼は良く知っているからだ。
さらに、スポーツ紙『
Superdeporte』も今月13日付にて、高橋氏の発言内容の中から「最も現実的なのは中止するのではなく、1-2年競技を延期することであろ』述べたことを抜粋して報じている。
日本のオリンピック委員会が早急に決断せねばならないことは、延期することを発表して各関係企業やスポンサーとの延期のための交渉を直ぐにでも開始することだ。そうすることによって、出来るだけ損失の少ないように進めて行くべきであろう。
仮に予定通り競技を強行するような事態になれば、参加国は大幅に減少し、また観客は激減するであろう。そして、世界からの融通の利かない日本への信頼は一挙に失墜することになるのは必至だ。
<文/白石和幸>
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身