新型コロナにおける偏見と無知だらけのパチンコ店批判。批判するなら少なくとも現状を知ってからせよ

人より遊技台と向き合っている時間のほうが長い

 そして、三つ目。 ③近距離での会話や発生が行われること  これもパチンコ店の現状には当てはまらない。そもそも客は遊技台に面し座るので、他者と対面する状況にはならない。夫婦や友達同士が隣同士で遊技をする場合は、会話をする場合もあるだろうが、あの騒音である、圧倒的に話さず遊技台と向き合っている時間の方が長い。  また多くのパチンコ店では、遊技客同士の間に、煙草の煙を遮るための「分煙ボード」が設置されており、この分煙ボードは客同士の接触のほかにも、飛沫感染等を防ぐ用も足している。  政府は、これら3つの条件が重なる場合は感染の危険度が増すと言っており、総合的に勘案しても、他の商業施設に比べ、パチンコ店の感染危険度がとりわけ高いとは到底言えるものではない。  冒頭の「パチンコ店は危険」という事を趣旨とする記事は、パチンコ店はこれら3つの条件に該当するという前提で書かれているものだが、パチンコ店の取材を長く続けている筆者にすれば、的外れもいい所である。  無論、だからと言って、パチンコ店が「安全」だという訳ではない。本稿は、パチンコ店を槍玉に挙げる記事についての反論ではあるが、そもそも現状において、まして不特定多数の客が出入りする商業施設のなかで、絶対に安全なところなど無い。あくまで、パチンコ店が他の商業施設と比べて、感染危険度が高いという論調は違うというだけだ。

開店前の行列には十分注意を

 最後に、パチンコをする人には気を付けてもらいたいこともある。  例えば開店前の行列。人気店には、開店前から多くの客が並ぶことがある。  決められた時間内に入場抽選を行い、開店時間までに整列し、決まった時間までに入店させるには、或る程度、来店客の統率が必要不可欠であり、その際には客が密集する。客同士、情報交換等の会話も頻繁に行われる。また並ぶ場所も駐車場であったり、店舗外に設置された階段であったり、店内に比べ比較的狭い空間になっている。この状況は、政府が示した「危険な状況」に該当する場合があるので注意を促したい。  最近では、開店前の入場抽選ではマスク着用がハウスルールで義務付けられていたり、そもそも入店時のマスク着用を義務付けていたりする店舗もあるが、そうでない店舗もあるが、すべての店舗がそのような対応をしている訳ではない。  不特定多数が触ることになる遊技台のハンドルなども危険性は高いことは認識しておくべきだろう。  また駅前立地の小型店舗や、古くから営業している店舗では空調機能が劣化していたり天井が低かったりする店もある。また分煙ボード等の設備が無い場合もある。すべてのパチンコ店が同じ条件ではないという事を予め知った上での遊技をお勧めしたい。   パチンコ店ばかりではない。映画館やカラオケ、ボーリング場やゲームセンター。多くの娯楽施設の営業は苦しい。  稀にみる「非常事態」である。不要不急の娯楽施設に行くも行かないも、個々人の判断に拠る部分が大きいが、リスクは常に付きまとう。施設側では、しかし来てくれるお客様のために、そのリスクを最小化するための努力を怠ってはいない。  「行かない」自由もあれば、「行く」自由もある。ただ正確に知りもせず、間違った論拠で、「行ってはいけない」と言ってはいけない。 参照/Greenbelt <取材・文/安達夕>
Twitter:@yuu_adachi
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