今年は新型コロナウィルスの影響もありましたが、国立大学の入試(2月25日、26日)は無事に実施することができました。そして、まもなく国立大学の合格発表が始まりますが、今回は知っておくと便利で楽しくなるかも知れない情報をお知らせします。
まず、みなさんは東大の入試について、次のどこまでご存知でしょうか。
【初級レベル】
国立大学を受験すると、実際に入学試験でとった点数を知ることができることを知っている。
【中級レベル】
東大の入試では、受検者がとった得点(センター試験と個別試験の合計点、以下合計点と記す)は小数点以下第4位まで表示されることを知っている。
【上級レベル】
東大の入試の合計点の小数部分として、あり得る点とあり得ない点を判別できる。
【超上級レベル】
東大の入試でとった合計点からセンター試験の得点を推定できる。
さて、どのレベルだったでしょうか。それではこれらの件について説明をしましょう。なお、東大の入試の合計点の詳しい算出方法は東大に問い合わせても答えてくれませんので、一部、「こう考えればすべてがうまく説明がつく」といった推定の部分もあります。
初級レベル:国立大学を受験すると、実際に入学試験でとった点数を知ることができるの?
国立大学は2001年から成績開示と称して、受検者個人にセンター試験と個別試験の結果および合格最低点を開示しています。これによって、不合格であったとしても何点足りなくて不合格になったのかがわかるようになりました。例えば、東大は2001年以降、合格最低点を発表しており、2020年は文科一類343.9444点、文科二類337.6111点、文科三類338.8667点、理科一類320.7222点、理科二類313.0222点、理科三類385.6111となっています。(満点は550点です。)
また、同じく2020年の合格最高点は、文科一類450.9111点、文科二類442.5444点、文科三類419.7778点、理科一類475.7222点、理科二類449.2889点、理科三類492.2333点です。
中級レベル:東大の合計点が小数第4位まで表示されるのはなぜ?
この点数をご覧になって、「これが試験の点なのか」とか「なぜ、試験の点が整数ではないんだ」と思われた方も多いことでしょう。そして、大学入学共通テストのこれまでの会議では「1点刻みの試験に意味はあるのか」という議論がなされてきましたが、
東大はむしろの逆の方向に進んでいたこともおわかりかと思います。
東大は、センター試験(来年度からは大学入学共通テスト)と個別試験(2次試験)の合計点で合否を決めますが、2次試験の4科目の合計点は440点満点であるのに対し、1次試験(センター試験)はその1/4の110点満点ということになっています。ところが、今年まで実施されたセンター試験は900点満点であって、110点満点ではありません。したがって、900点を110点に圧縮します。例えば、センター試験で815点、2次試験で254点を取った場合は、合計点は、
99.6111+254=353.6111(点)
となります。センター試験の815点は東大の計算方法(推定)で99.6111点に圧縮されます。これを四捨五入して100点にしないところが東大らしさです。
でも、なぜ小数第4位までなのでしょうか。実は、900点満点を110点満点に圧縮する場合は、小数第2位までの表示でも十分で、小数第2位までの表示で受検者の得点の順位が変わることはありません。これが小数第4位まで表示される理由は次のように考えられています。(繰り返しになりますが、東大に問い合わせても答えてくれませんので推定です。)
40年ほど前に開始した「共通1次試験」は1000点満点でした。1000点満点を110点満点に変換するためには、0.11をかければよいので小数第2位までで正確に表現することができました。しかし、ある時期にそれが800点満点に変更されました。この場合、800点満点の1点は、110点満点の0.1375点になります。ですから、小数第4位まで用意すると正確な得点を表現することができます。800点満点になったのは得点開示制度ができる以前でしたので、想像でしかありませんが、おそらく800点満点になったのを機会に小数第4位になったと考えられます。