今回の新型コロナウイルス関連騒動のなか、必要以上の経済的萎縮は、ウイルス感染拡大と同等もしくはそれ以上の社会的ダメージを残す恐れがあるという観点から恐れながらも反証するのであれば、1年を通じて1回以上、パチンコ店に行く人は950万人(2019レジャー白書)であり、日本の人口の10%にも満たない。9割以上の人たちはパチンコ店に足を踏み入れることはないし、世論の「パチンコ観」には多分に推測も含まれている。
まず厚生労働省や北海道が明示している「具体的な場所」については、実際に複数人に感染させた事実のある場所が主立っており、一点「雀荘」に関しては知り得る限りの感染報道の舞台にはなっていないが、実際に感染実績がないのであれば、「複数人が対面で長時間いる」、「同じものを複数人が複数回触る」という特性が考慮されたものであろう(これも推測ではあるが、しかし筆者は雀荘を年に数回は利用する)。
しかし本記事の執筆時点において、パチンコ店に感染者が立ち寄ったという事実はあるが、パチンコ店が感染を拡大させた「場所」にはなっていない。ちなみに感染者が立ち寄ったパチンコ店は、営業を停止し、店内の消毒及び従業員の検査や自宅待機に努めている。
そしてこの点が一番大事なポイントなのだが、パチンコ店を「危険な場所」として名指しする多くの人たちが、「パチンコ=高齢者が多い」という構図で説明を試みるが、業界団体や業界誌等が複数年に渡り調査している内容を見れば、パチンコ店の主要な客層は40代~50代(の男性)であり、批判の根拠となるエビデンスとしては説得力に欠ける。
本記事の論旨は、「必要以上な経済的萎縮に対する危機感」である。
新型コロナウイルスの感染が全国的に広がるなか、企業活動や商店営業、興行実施の場を媒介した感染拡大防止のために、営業等の自粛がなされたことが日々報道されている。この「営業等自粛」には2パターンがあり、東京オリエンタルランド等のテーマパークや、感染者が発生した地域のイオンシネマの営業中止、大規模イベントの中止等、「予防」として一定期間営業を取りやめるものと、従業員がウイルスに感染した、もしくはウイルス感染者の行動経路に含まれたことにより、客の安全を最優先として営業を自粛(店内等消毒のための営業停止期間も含む)するものがある。
「前者」の企業や商店を批判するつもりはさらさら無い。複合的な社会情勢や、世論の「要請」を汲み、自身が被る経営ダメージすら省みず、「営業の中止」を決断した姿勢はおおいに評価されるべきである。
しかし「営業等自粛」を選択しなかったからと言って、「後者」のパターンで無い場合において、社会的な批判を、それこそ何の盾も無いまま無防備に受け続ける必要はあるのだろうか。
冒頭の北海道のパチンコホールにおける営業時間の短縮と、パチンコ業界に対する様々な批判は、新型コロナウイルス感染拡大期の現状におけるこの社会の縮図であり、ウイルスの駆逐と日本経済の萎縮防止の両方を達成するためには、このような議論が今より更に先鋭化されないことを切に願っている。