ベネズエラの病院で医療放置状態にある入院患者
(photo by Adriana Loureiro Fernandez/Bloomberg via Getty Images)
新型コロナウイルスの感染が遂に南米で最近確認された。最初に感染が確認されたのがブラジル。その後、アルゼンチンとチリと続いた。
今後感染拡大も予測される中、非常に懸念されている国がある。ベネズエラだ。
なにしろ、医薬品、マスク、医師の防護服など医療に関して全てが手に入らない国だからだ。感染が確認されるような事態になると、2015年頃から保健衛生システムが機能しなくなっているベネズエラでは国民の間で悲劇をもたらすことは確実だ。
それを示す具体例として、患者が一旦病院に入院すると、その8割は別の病気を併発しているという。これはまさしく、保健衛生システムが機能していないことを証明している。隔離が必要な患者をそのようにできないからだ。その為の医療設備が完全に不足しているということだ。(参照:「
El Nuevo Herald」)
更に、昨年は12州で麻疹が552人ほど確認されている。2017年から昨年までだと7058人が感染したことが国連の人権センターが報告している。それに加えてマラリアとジフテリアの発生も報告されている。(参照:「
Infobae」)
保健・社会保障省相を経験したホセ・オレタは、現在の保健システムが嘆かわしい状態にあるかについて次のように述べている。
「(保険衛生システムが)極端なほどに衰えており、普段の治療対処さえできない状態にある。その上に、新しく発生した病気だということで緊急治療を必要とするのに、それに即座に応えることができない」
ホセ・オレタに同調するかのように「手を縛られたようなものだ」と指摘したのは看護師でカラカス大学病院の組合代表マルゴット・モナステリオだ。この病院はベネズエラを代表する病院で専門治療では最大規模の病院だとされている。
マルゴット・モナステリオが言うには、2月27日から集中治療をするための医療技術が機能しなくなっているというのである。
また、ベネズエラ感染医学協会の会長マリア・グラシエラ・ロペスも、「他の病院でも同じように集中治療が出来なくなっている」と語っている。(参照:「
Infobae」)
国連が2月17日付けで発表したレポートによると、この4年間で医薬品を生産していた多国籍企業の半数がベネズエラから撤退し、医師や医療技師の25%が公立病院から私立病院に籍を移すか、あるいは外国に出て行ったそうだ。
また、昨年3月にベネズエラの全国規模で大停電が発生したが、その影響で医療設備の30%が故障し、そのどれもが今も修理できないままになっているそうだ。
更に、深刻なのは
昨年70%の病院が水不足で1週間に1度か2度水の供給を受けていた。電気も63%が停電などを繰り返していたということで、それが影響して死亡した患者が164人と公立病院アンケート調査で明らかになっている。(参照:「
Infobae」)